気になるデンマーク

スウェーデンとデンマークは今、共に中道左派政権だが、その具体的な政策には大きく異なるところがある。来年のスウェーデンでの国政選挙を睨み、スウェーデンがデンマークから学ぶべきことがあるとすれば、それはなんなのかを探る。
ブロムベリひろみ
2021.11.07
誰でも

swelog weekend nr 31

〈今週のトピック〉  気になるデンマーク
〈今週のブログ記事〉 デモや透明性について考えた
〈今週のスウェ推し〉 ろうそくの灯り、クリスマス準備

気になるデンマーク〈今週のトピック〉

スウェーデンとデンマークは今、共に中道左派政権だが、その具体的な政策には大きく異なるところがある。また、2011年には初の女性首相を、そして2019年には41歳の女性がデンマークでは首相となったが、スウェーデンでは、今月中にやっとスウェーデン初の女性首相が誕生する見通しとなったばかり。

www.sankei.com

来年のスウェーデンでの国政選挙を睨み、スウェーデンがデンマークから学ぶべきことがあるとすればそれはなんなのか? を探ってみた。

かっこつけない、ぶっちゃけのデンマーク

Same, same but different ? スウェーデンとデンマークは、遠くの国から眺めるとどちらも北欧の一国で、その意味ではよく似ているが、近づいてみるとずいぶん違う。

デンマークにほど近いスウェーデン南部に私は20年以上住んでいるが、デンマーク語もわからないし、デンマークのニュースや社会状況をそれほど理解しているわけでもない。そんな日本人の私がなんとなく感じている程度だが、スウェーデンの人が頭で考えて理想を追求し(これはこれでとても重要だが!)時として意識(だけ)高く、本音はちょっと横においておきました、と感じることもあるところ、デンマークの人はもっとぶっちゃけてて、かっこいい時でもかっこつけることなく、本音と本音のぶつかり合う議論を恐れることもあまりない、ように思う。

2019年に若干41歳で首相になったメッテ・フレデリクセンは、私のそのデンマークのイメージを体現している人の様に思う。

(この手のポーズはもしかしたら、メッテは次のメルケルを狙っているのか😉?)

移民政策は締めて、福祉政策は寛容に、そして誰とでも組む

2019年から単一与党として政権を握るメッテ・フレデリクセンの率いるデンマーク社会民主党は、政策決定時に主に左よりの小規模政党からの支持を取り付けることが多いが、移民政策など重要ないくつかの問題において、右派ポピュリスト政党と組むことも厭わない。

現在の基本的な方針は、社会保障など福祉政策では左より政党と組み、福祉を必要とする人へ手厚い政策を提供し、移民政策では右派ポピュリスト政党のデンマーク国民党とも組んで、EU内でも物議を醸し出すほどの移民の受け入れをほぼ閉ざした特出した政策を実施することを躊躇しない。

swelog.miraioffice.com

この政策により、メッテ・フレデリクセンとデンマーク社会民主党は、ヨーロッパの中でも一番成功した社会民主主義政党とも、また最も非難される社会民主主義政党とも言われる。少し前のニュースレターで「ブルーでブラウンなスウェーデン」の話をしたが、デンマークの今の政治体制には「レッドブラウン」という形容詞が使われることもある。

swelog.theletter.jp

興味深いのは、2019年にデンマーク社会民主党が政権を取るまでは、一時は有権者の21%を超える支持があった右派ポピュリスト政党であるデンマーク国民党は、その支持率を8.7%へと落としたところだ。

www.jetro.go.jp

「スウェーデンはもっとうまくやれるはず!」

今回スウェーデン社会民主党党首に選出されたマグダレーナ・アンデションは最近、「スウェーデンはもっとうまくやれるはず!(Sverige kan bättere än så här!)」と話しているそうで、これはデンマークのメッテ・フレデリクセン首相が使っている「デンマークはもっとできる(Danmark kan mere)」というスローガンに似ている。

多くの人が非難するようにデンマークの難民移民政策は非人道的なのか?、それとも現実的なのか? 新しくスウェーデンの首相となるだろうマグダレーナ・アンデションは移民政策で、よりデンマークの考え方によった政策を打ち出したいのだろうか? 仮にしたいとしてもできるのだろうか?

まずは、アンデションは国会で首相に選出されなくてはいけないわけだが、どうぞ数週間のうちにそれが実現しますよう🙏

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デンマークの、このかっこつけないぶっちゃけってて、物議を醸し出すのを恐れない感じについて、過去のブログ記事へのリンクをいくつかどうぞ。読んでない人はどれも結構驚くよ!

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デモや透明性について考えた〈今週のブログ記事〉

グラスゴーのCOP26でも金曜日もグレタも一緒に大規模なデモがあったが、今週はスウェーデンでもいろんなデモや抗議があったし、気になることも多々あった。

滑走路に手を糊付けした人の手はどうなったのか? そんなに強力な糊ではなかったのか? それは喜ぶべきか、がっかりするべきなのか? (そんなつまらない事を考えている私はどうなのか?)。そして、バス停のベンチを飾った大量の食パンと菓子パンはどうなったのか? (もともと賞味期限の切れたパンだったのか? 鳥が食べたのか? いや、だから、もっと違うこと考えないか、私😅)

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そして「女性ストライキ」は「気候ストライキ」レベルのムーブメントになったりするのだろうか? 冗談は抜きにして、いろんな人がそれぞれの争点で、自分でできる形で戦っているのを日々感じる。ブログの記事にしなかったけど、今週は助産婦さんたちの置かれた状況がひどすぎ、大量辞職というニュースもあったんです。

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そしてこちらは今週のテーマ記事を書こうと思ったキッカケになったデンマークに関する記事。政治家への信頼と透明性の話は切り離せない。

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ほかにはおなじみの(?)コロナの話題とキャッシュレスに、毎年恒例の夏時間・冬時間の話題など。あんなに誓ったのに、今日もまた現金をATMから引き出すの忘れた😰

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ろうそくの灯りとクリスマス準備〈今週のスウェ推し〉

さて、冬時間になって、寝る時間が増えたように思うのに毎朝もっと寝ていたいような気がする今日このごろ。外は灰色で湿っぽく、秋の美しい紅葉もだんだん終わりかけており、ちょっと気が滅入りそうにもなるけれど、やってきました! キャンドルのシーズン。

ろうそくのシーズンというよりは季節の食べ物のシーズン到来か? アドヴェントもそんなに先の話じゃない。
ろうそくのシーズンというよりは季節の食べ物のシーズン到来か? アドヴェントもそんなに先の話じゃない。

日本にいるとちょっとくつろぐ時にキャンドルを灯す習慣のある人はあまりいないかもしれないけど(私もそうでした)、ぜひお試しください、ろうそくとの時間。最近はいろんなアロマのキャンドルもあるし、毎晩ろうそくの明かりを灯す人ももしかしたら増えているのかな? ただしスウェーデンでも冬の火事の原因はろうそくに起因するものが多いので、取り扱いにはくれぐれもご注意を。

そして、スーパーや他のお店でもグロッグ(ホットワイン)やサフランのパンなど冬の食べ物や、アドヴェントカレンダー各種、クリスマスツリーの飾り付けなど、クリスマスシーズンの到来を感じるものが急に増えてきました。それもそのはず、あとクリスマスまで一月半くらい。あと、もう1、2週間くらいゆっくり過ごしたい感じだけれど。

街でみかけたおしゃれな紅茶のアドヴェントカレンダー。<a href="https://teministeriet.com/">https://teministeriet.com/</a>で扱ってます
街でみかけたおしゃれな紅茶のアドヴェントカレンダー。https://teministeriet.com/で扱ってます
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今週はエル アクティブでのラーゴム連載、COP26に合わせたVol.2「気候危機と暮らす」もアップされてます。読んでね ☺︎

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