ニュースレターの収益化

今もYouTuberやインスタグラムのインフルエンサーの人気は衰えないが、ニュースレターやポッドキャストで稼ぐ新しいタイプの才能も、その才能を支えるプラットフォームも台頭してきた。しかもその収益モデルは、広告に依存しない直接課金。今日はスウェーデンのメディアアナリストによるニュースレター収益化の動向分析をお届けします。
ブロムベリひろみ
2021.05.02
誰でも

隔離生活の後で走り方がいまだになんだかぎこちない私ですが、朝、気持ちよく疎水の横を走ってます
隔離生活の後で走り方がいまだになんだかぎこちない私ですが、朝、気持ちよく疎水の横を走ってます

5月になりました。今年の5月の京都は思っていたよりも気温低めで、未だにマスク慣れしない私にもやさしい。これから暑くなるとマスク生活ってきっと大変ですね。暑くなる前にスウェーデンに帰らねば😅

昨日、ルンドにいる夫から聞いたのは、私たちの住むスウェーデン南部のスコーネ地方ではそろそろ我々にもワクチンの順番が回ってきそうだということ。同時に国全体では、夏休み前までにワクチン接種完了というのはやはり無理で、9月の完了が現実的だろう、とも聞きました。

2021年4月26日〜5月1日のニュース

今週はニュースでもやはりワクチンの話題が多く、公衆衛生庁のカールソン長官からは、ワクチン後の社会生活の説明の際に、以前に近い生活に戻れるのは「2023年」という、これまでは出ていなかった見通しも出たりしていました。swelogでもワクチンについていろいろ取り上げました。

swelog.miraioffice.com
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それ以外には、デジタル化、医療のためのマイクロチップ技術、さらには「2024年」まで続くゼロ金利の話も。隔離ですっかり体力、筋力が落ちてしまった私(体重も増えた!)が一番注目したのは「週にたった6分の筋トレでOK」のすばらしい健康法😍かな?

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今週のテーマ・ニュースレターSubstackバブルは本物か? スウェーデンのメディア専門紙の分析

さて、少し前にスウェーデンのインスタグラムのインフルエンサーがびっくりするくらいたくさん稼いでいるという記事を読んだので、いつかそれについて書こうと思っていたのですが、そうこうするうちに、私も今、こうして書いているニュースレターで億万長者になる人や、ポッドキャストで生計をたてる人など、新しいテキストと音声のプラットフォームの収益化システムが整ってきました。これから2週に渡り、ニュースレターと、ポッドキャストやCludhouseなどの音声コンテンツの収益化について書いていきたいと思います。

ユーチューブやインスタグラムで、個人が裸一貫(?)でお金を稼げるシステムができたのはいいことなのでしょうが、入ってくるお金の出どころは、これまではクリエイターである本人とはあまり関係のない広告からの収益でした。

裸一貫度は似たようなものですが(?)動画の作成よりある意味敷居の低い、ニュースレターという「文章」や、さらにはポッドキャストやClubhouseという「語り」で、直接収益を上げることのできるプラットフォームが今、ぐんぐん盛り上がっています。

ニュースレターのSubstack

ニュースレターではアメリカのSubstackが代表的なもので、スウェーデンのメディア業界紙Dagens Media(DM)でも、米国のジャーナリスト、マシュー・イグレシアスの例を取り上げています。

イグレシアスは成功したニュースサイトVoxの共同設立者で、人気のあるライターでもありました。Voxを辞職し、Substackでニュースレターを配信するようになった彼には、今3万人の有料読者がいて、Substackへの手数料を差し引いても、ニュースレターから年間50万米ドル程度(約5500万円)の収入を見込んでいます。

Substackでニュースレター配信を始めた記者は、イグレシアスだけではありません。今、アメリカでは著名なジャーナリストたちが伝統的なニュースメディアや多くのフォロワーを誇っていたSNSを離れ、ニュースレターで有料読者に向けた記事配信へと移ってきています。

記者たちは組織には所属していたけれども、個人としての独自のブランドを確立していた人が多く、ニュースレター開始時から多くの読者がついてくれることが予めわかっていた人たちだとも言えますが、Substack側でもこの流れを強化するための施策をとった、とDMの記事は伝えています。

イグレシアス氏への場合は、ニュースレターの配信開始を条件に、Substackは前金として25万ドルを提供しました。(この金額は初年度の購読料収入と相殺されます)。そしてSubstackの成長を支えているのは、もうピンときた方も多いと思いますが、皮肉なことにデジタルニュースメディアの凋落です。Vox、Vice、Buzzfeedが行った大規模なレイオフによる個性豊かな書き手が、Substackに流れ込んだと言えます。

DMのマーティン・イェリーンは、自身が購読しているニュースレターの多くはこれまでの一般的なメディアではその居場所をみつけるのが難しいほど、マニアックでかつボリュームのある内容だといいます。ニュースレターは、彼が興味を持つ分野で最高の専門知識をもつ専門家とまるで朝食を一緒にとっているような経験をもたらすものだとも。

Substackに資金提供も行っているベンチャーキャピタルのアンダーセン・ホロヴィッツは「テキスト」経済についてこう話しています。「テキストは時間効率がよく、他のほとんどのフォーマットに勝っていることをを思い出させてくれる」。この発言をあなたはどう思いますか? テキストは時間効率がよく、情報を早く吸収したい人にとっては他のフォーマットよりも優れているのは確かです。さらには、20分の動画を見るのは誰がみても20分かかりますが、1万字のテキストを読むのに費やす時間は人様々でもあります。

みんな、ニュースレターで収益化したい

イェリーンは今のSubstackバブルはそのうちに崩壊するだろうが、ニュースメディアはそニュースレターという新しいプラットフォームを得て、バブルが弾ける前に新しい読者、新しい収益の形を手にするだろうと分析しています。

またメディアアナリストのトーマス・バエクダールは、スウェーデンでは課金できるニュースレターのシステムは整ってきており参入障壁はほとんどないので、、有料ニュースレターの需要は近いうちに飽和段階に入るだろうと見ています。(DM記事・すべてのパブリッシャーがニュースレターで収益したいと思っている今の課題

上にあげたSubstackの他にも、Twitter/Revue、Facebook、Squarespace、Ghostが参入に意欲をみせ、またAmazon SESやMailgunなど決済システムと連携したメールサービスを利用している事例も既に数多くあります。

バエクダールは、持続する有料ニュースレターの開封率は100%であるべきだといいます。有料で配信されるニュースレターは商品で、その商品が使われない場合は解約される可能性が限りなく高いからです。バエクダールは、あなたのニュースレターが5年後にも残っていることを目指すなら、ソリューションベース(ニュースレターを読んだら購読者の問題を解決する内容になっている)のレターとなるべきだ、とまとめています(←これどっか別のところでも読んだわー🤔)

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さて日本ではこの先どうなっていくでしょうか? (とまったく他人事のようにまとめてしまいましたが、私も当事者ですね😊)。

バエクダールの記事を読んでいたら、以前スウェーデンの出版業界の業界紙かなにかで「日本にはTundokuっていう、素晴らしいビジネスモデルがある」と真剣に書かれていたことを思い出しました。「積読」ですね。読まないのに本を買う人がいる、というのがちょっとうらやましかったものかと。

彼は、ニュースレターもいくらそのフォーマットが読者に歓迎されるとはいっても、一人の人が例えば一週間に読める量は限られているので、そういう意味ではこの先は激しい弱肉強食の世界が待ち受けているといいます。しかし、、、そうですね、「積読」文化のある日本にはこの先「Tamedoku溜読」(今は読めないけど後で読むため(もしくは読もうとおもって溜めておく)文化ができそうですね。

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来週はSpotifyでも新しい動きのあったポッドキャストとClubhouseなど音声周辺の収益化の新傾向に関してまとめてみたいと思います。

そして、 このニュースレターはこれまでのメルマガなどとは違い、そのまま返信していただくと私にコメントが届きます。weekendではこんなものが読みたいとか、swelog記事でこんなものを取り上げてほしいとか、ご要望やご感想などあればぜひ返信してみていただけると嬉しいです。

以前からswelogのメルマガを購読いただいていた方々に加えて、こちらのtheLetterで配信するようになってからも購読者がぐんと増えて喜んでいます。みなさまのお声も聞かせていただければ嬉しいです。ご返信おまちしております!

では、また来週!Vi ses nästa vecka!

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