声がつくる未来

家からすぐのお寺。徒歩で近くのスーパーに行く程度の毎日ですが、ここは朝食前でもちょいと訪問できます
Hejsan! 日本に来て4週間が経ち、京都でまったりご飯たべて散歩していると北欧が遠い🥺 北欧からも日本は遠いのではないかと思うのですが、そんなことはお構いなしに、私の夫から、自分のルンドの露天風呂のために「ゆ」マークの入ったのれんを自作したという写真が送られてきました。妻は遠くにいってしまい帰ってこないが、そんなことは気がついていないのではないかと思うくらい、楽しそうでなによりです😅

これ以外にも「花山(名字のBlombergをもじって)」という名入りの、のれんも作ったようです。すごいな。
2021年5月3日〜5月8日のニュース
スウェーデンからのニュースでは、やはりこの一週間で一番「おお!」と思ったのは、デンマークが毎日10億円かけて45万件のコロナ検査を行っていて、そのおかげで感染拡大が抑えられている(はず?)というものでしょうか。
私が今回スウェーデンで自費で行ったPRC検査は一回26,000円くらいしたので高いなー、 と思っていましたが、そんなの目じゃない、一日10億円! この大量検査と感染拡大抑止力の相関性は今後長い時間をかけて検証されていくのでしょうが、デンマーク、吹っ切れてますよね。
これ以外のコロナ関連では、仕事が見つからないからという、おそらくは消極的な理由で、高校の卒業者に大学へと進学する人が多かったというニュースと、コロナで会場での開催ができなくなりオンラインへと場所を移したネットオークションへ、80代や90代の利用者が急増中というものを取り上げました。
法令による増税でプラスティックのレジ袋の使用が減ったというニュース、また、スウェーデン防衛軍で装備や軍服のジェンダー間平等が目下進行中というもの、そしてドローンのために空にドローン街道を設計する計画が進行している話はいずれも、これから先の世の中がどうなっていくのかを具体的に考えさせてくれるものでした。
今週のテーマ・声がつくる未来。Voice-only-networks
さて、先週は「ニュースレター」について書きましたが、今週は「声のソーシャル」の未来について考えたいと思います。スウェーデンではClubhouseが伸び悩んでますが、ポッドキャストへ参入するインフルエンサーはぞくぞく増加中という状況です。そして伸びそうな声を使ったプラットフォームとは?
Youtubeからポッドキャストへ
Youtubeの動画は数百万回の再生数を誇り、インスタグラムのフォロワーは数十万人。スウェーデンのトップインフルエンサー・カップル、ヨッケ&ヨンナが次に目指すのはスウェーデン最大のポッドキャストをつくること。
これまでも生活の端々までをコンテンツにしてきた彼らですが、ポッドキャストはこれまでにない赤裸々さで、個人的で親密な内容の番組になる予定、と話すのはポッドキャスト配信プラットフォームのAcastの北欧担当コンテンツマネージャー。さてこれ以上明かすことがあるのか? 二人は何を話すのでしょう? 一昔前の深夜ラジオのようなのりになるのかな🤔
Clubhouseの停滞
一方、スウェーデンのメディア業界紙、Dagens Mediaが伝えるのは、Clubhouseの停滞です。Mediavisionが先月末発表した数字によると、北欧の15〜74歳でClubhouseを日常的に利用していると答えた人は5万人に満たないそうで、これは全体でいえば1%にも満たないとか。招待制であることを考えると、この数字は少ないのか、それともこれから増えるのか、判断するのは難しいところだと思います。
が、Business InsiderがSensor Towerの発表数字を伝えたところによると、今年2月には960万件、3月には270万件行われたClubhouseのダウンロードは、4月には92万2千回に留まったそうで、急速に減少したとなっています。
Twitterが提供するSpacesや、FacebookもClubhouseと同様のサービスを提供することを発表しており、Voice-only-networks、Voice-social-networks、Audio-only-social-networksなどと呼ばれる「声のSNS」はこれからますます拡大していくのは確実といっていいでしょう。
Spoon、Locker Room、Discord
大手プラットフォームだけでなく、韓国発のSpoonや、スポーツ中継の音声プラットフォームから発展してこの3月にはSpotifyに買収されたLocker Room、そして極めつけはゲーマーのための音声ソーシャルとしてスタートし、いまでは1億人以上のユーザーを持つDiscordまで、新興音声ソーシャルプラットフォームも力強く伸び続けています。
Discordはマイクロソフトが100億ドルで買収しようとしていたという噂のあった会社で、2015年にゲーマー向けのボイスチャットサービスとしてデビューした後、順調に成長を続け、2020年頭にそのサービスの対象を一般ユーザーに向けてからはパンデミックも追い風にして急成長しています。2020年の2月から7月の間でユーザー数が47%も増加したそうです。
動画のように発展するか?
今後「声」のソーシャルプラットフォームも、動画の世界が発展して来たように複合的に発展していくのではないか、とのスウェーデンのメディアアナリスト、クリスティン・ヘイノネンが分析しています。
動画の世界ではYoutubeが今も圧倒的な人気と影響力を持っていますが、その一方で新しい動画フォーマット(Tiktokなど)や動画プラットフォーム(Vimeo、Snapchat、Twitchなど)も元気です。収益化の方法もYoutubeの広告やPatreon、Twitchなど多様性もあります。そして同じことが「声」の世界でもすすんでいくだろうというのがヘイノネンの見方。ClubhouseでもStripeと提供して投げ銭モデルが始まっています。
「声」が一番輝く場
さて、私は声のいい人に弱く、また音声で提供されるコンテンツは昔から好きでしたが、ここへ来てポッドキャストにはまり、ポッドキャスト用に制作されたものから、ラジオ番組をポッドキャストでも配信しているものまで、たくさん様々なものを聴いています。
オーディオブックは朗読する人(声?)を結構選ぶので、日本語のものは難しいのですが、スウェーデン語のものはわりとたくさん聴いてきました(なぜそうなのか、自分でも不思議ですが)。
が、しかしClubhouseにはあまり興味をそそられない。なぜかな? と今回ちょっと考えてみたのですが、私はきっと「声」は二人の間で交わされた時に一番輝く、と考えているのではないか、と思い当たりました。
「声」の持つ一番の魅力は親密間。そしてその親密感は伝えられるものが音声だけの時に一番感じる。ラジオはもちろん、自分ひとりだけに語りかけられているわけじゃないけど、ちょっとその気にさせてくれるもの。 だから情報を得るということが主目的の場合は別としても、人と繋がりたい時には、誰かの声が自分に向けて1対1で投げかけられている時に、人の心は最も動くのだと思います。
コロナ禍で、友人と音声アプリで話すということを久しぶりにした人も多かったのではないでしょうか? 電話は「人の都合も関係なく、突然やってくる暴力的なツール」ということで、若い人たちの中には使ったことがない人も多いだろうし、コミュニケーションはテキストのやりとりが主で、音声だけの1対1のリアルタイムのプライベートな会話を、家族や一番身近な人以外と、日常的に行っている人は今はもしかしたらわりと少ないのかもしれない。
この先のVoice-onlyの世界の行き着く先は「電話から”突然相手の都合もかまわず侵入してくる暴力性をうまく回避した”1対1の「声」のやりとりを実現したもの」、とかになるとおもしろそうです。
でも、私はもしかしたら「電話」や「音声だけアプリ」に戻ればいいだけの話なのかもしれない😅 昔、電話で話していた頃には「顔を見て話せるテレビ電話(という名前だった!)なんてすごい!」と思っていたけど、ビデオ会話が普通になってしまうと、「声だけ通話」の親密性に戻りたいと思うだなんて、人間とはなんとひねくれたものなのか。
この先も私の「声」へのこだわりは続きそうですが、私はVoice-only-networksじゃなくて、Voice-only-conversationが一番いいかな? さて、みなさんはどうでしょうか?
明日からは、ちょっと声を意識した一週間にしてみよう。では、また来週!👋
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