今週のブログ 2021.12.27~2022.01.01

年末年始を挟んだ今週は、どんな一週間でしたか?
いつもお送りしているトピック記事とスウェ推しは今週もお休みをいただき、この一週間のブログ記事を全文でお送りします。2022年もどうぞよろしく!
ブロムベリひろみ 2022.01.02
誰でも
2022.1.1

2022.1.1

2021年日本でも売れに売れた『スマホ脳』が、スマホやSNSへの弊害に対抗するための体育会系アプローチだとすると、この問題に文化系アプローチで迫るのが、カル・ニューポートの『デジタル・ミニマリスト』だ。

医師であるアンデシュ・ハンセンの『スマホ脳』が、脳の働きを解説し、スマホの弊害への対抗策とすすめる運動は、やってみれば効果をすぐに実感できる。

『デジタル・ミニマリスト』がスマホの代わりに薦めるのは、運動ではなく、余暇=自分が本当にしたい興味のあることに使う時間と、自分ひとりと過ごす「ソリチュード」な時間だ。

私が『デジタル・ミニマリスト』で特に心をひかれたのが、アクティブに体を使い、かつ時間をかけないとできない「お稽古事や手仕事」をすすめていた点だ。

少し走ればすぐ気分が上向きになるのを実感できる運動と違って、習い事は難しい。最初からうまくできないし、コツコツ続けても上達したことを自分で実感できないこともよくある。でも、すぐに効果がでることばかりが重要視される今だからこそ、カル・ニューポートのこのお薦めは、とても大きな意味を持つ。

前置きが長くなったが、2020年の年頭、自身のニュースレターで「1月のアナログチャレンジ」を薦めていたニューポートが、今回また2022年1月のアナログチャレンジを紹介していた。

前回のアナログチャレンジは

READ 1月に3〜4冊の本を読もう。ジャンルは問わない
MOVE 毎日最低15分の散歩。スマホは家に置いて、周りの景色をしっかり見て頭で思考しようCONNECT 1月は20人と意味のある会話をしよう。電話やスカイプでもOKだが、文字ベースのやり取り(メールやメッセンジャーなど)は不可
MAKE 身体を使って習得する趣味や技術に挑戦しよう。工作や手芸、スポーツな
JOIN 地元で参加できる毎週やっているなんらかの集まりに参加しよう。リアルな実生活で人と交わり、一緒になにかに取り組むことほど人間的な行いはない

と盛りだくさんだったが、今回のチャレンジはたった一つだけ。

1月の一ヶ月間、Twitterにアクセスしない。Twitterに使っていた時間で、仕事で必要な知識や技術を身につけたり、心から楽しむことのできる趣味のプロジェクトに打ち込もう。Twitterにアクセスしたい衝動にかられたら、決めたプロジェクトに取り組もう

どうです? できそう? 私はやってみるよ。Twitterの代わりに何に時間を使うかはもう決めたので、1月30日配信のニュースレターで、どうなったかをご報告します😉

そして、毎日ツイッターにあげていたブログの更新のお知らせもお休みするので、この機会にぜひ、週一回ブログ更新をまとめてお送りしているニュースレターの購読をご登録ください。登録はこちらから。

それでは、2022年もどうぞよろしく!

2021.12.31

2021.12.31

2021年スウェーデンのSNSでニュースに対する「いいね」や「シェア」などの反応は、2020年に比べて劇的に減ったことをBreakitが伝えている。

2020年は多くのSNSで訪問者数が過去最高を記録するなど、スウェーデン人のSNS上のでのエンゲージメントは高かったが、今年は昨年に比べると大きなニュースが少なかった。また反応を引き起こすニュースは、エモーショナルなものであることが多く、例えば今年初めて女性の首相が誕生したが、このようなニュースはあまり反応を引き起こさない、とメディアアナリストは解説する。

その中でも目立ったのは「団塊の世代にもやさしいコンテンツ」で、世界中ではやった高齢者でも踊ってみたくなるJerusalema challengeという簡単なダンスなど。世界中で救急隊員や銀行員などが、いろんな職場で踊っていたが、スウェーデンでは刑務所の職員が参加したものもあった。

Breakitのトップ10リストでは、第一位はDagens Medicinに掲載された「アルヴェドン(鎮痛薬)が飲めるなら、ワクチンも大丈夫」というタイトルの記事。ワクチン接種の問題は人々に強い感情を引き起こす。

エンゲージした記事の2位には「スウェーデンのオーガニック食肉工場での動物虐待の様子と見られる写真(TV4)」や、6位の「研究結果・女友だちと一緒にワインを飲むと寿命が伸びる(Uppskattat)」などがある。

このブログでも年始に取り上げた「これから数日間は掃除機を使わない方がいいかも(SVT)」も10位に入っていた。

SNSを含むテック企業に関するビジネスニュースを伝えるというBreakitのメディアの性格上難しいのかもしれないけれど、この分析ではなぜ「もうSNSはオワコンなのだ」という可能性に触れられていないのだろう?

大きなニュースがなかったからエンゲージメントが減ったのではなく、SNSでいいねしたりシェアすることに疲れたのだと思うよ、私は、希望的観測だけど。

そんな2021年も今日が大晦日。皆様もよいお年をお迎えください!

2021.12.30

2021.12.30

「世界の中で悪い見本となっており、こんなことを続けているのは国際的にみてとても恥ずかしいことです」と話すのは、新しくスウェーデンの教育大臣になったリーナ・アクセルソン・シールブロム。

スウェーデンで初めて、トランスジェンダーで大臣となった彼女だが、目指すのはもちろんトランスジェンダーとして大臣をやることではなくて、今のスウェーデンが抱える学校の問題に取り組むことだ。

彼女を教育大臣に選んだアンデション首相から託されたのは、子どもたちの成績を向上させ、格差をなくし、若者たちがギャング団にはいってしまうのではなく学校で学ぶことを選ぶようにすること。

アクセルソン・シールブロム大臣は、子どもたちのほとんどが高校へ進学できない荒れていた基礎学校の校長として、それまで続いていた負の連鎖を断ち切り劇的に高校への進学率を高めたという実績がある。

また目下議論が湧き上がっているのが、学校法人の営利化問題。冒頭の大臣の発言の「悪い見本」というのは、このことを指す。スウェーデンではこれまで、学校法人が利益を出して株主に配当金を渡すということが認められてきてきたが、この11月に学校法人の利益の追求を禁止する決議が国会で採択。アクセルソン・シールブロム大臣は、その決議を現実世界に反映していく任務がある。

これまでスウェーデンでインターナショナル・イングリッシュスクールを経営し、10億クローナ(約130億円)を超える利益をあげてきたバーバラとハンス・ベリストローム夫妻は、学校法人の営利化の禁止を「国家による私有財産の没収」として反発している。国が学校法人に対して株主への利益分配を禁止するのであれば、数十億クローナの補償金を払うことになるだろう、というのがベリストローム夫妻の考え方だ。

アクセルソン・シーブロム大臣は、子どもたちには学校を自由に選べる選択肢があったほうと考えており、学校法人の規制は考えていない。今の問題は誰が学校を運営するのかを注意深くみていくことで問題を解決できると考えている。利益のためではなく、子どもたちのために学校を運営する経営者を選んでいくというやり方で。

最近読んだ本『デジタル・ファシズム』でも日本にも忍び寄る、学校をドル箱とみる魔の手について書かれていた。新年からはこのブログでも教育についてももっとどんどん取り上げていこうと思います!

ブロムベリひろみ
@hiromi_blomberg
⛄️冬の読書週間②❄️

堤未果さんの『デジタル・ファシズム』

反面教師となる意味も込めて、スウェーデンのデジタル化やキャッシュレス化についてはswelogでもこれまでも多く取り上げてきたつもりだけど、来年は、ビジネス化の進むスウェーデンの教育についてもっと取り上げようと強く思いましたよ!
2021/12/25 21:16
6Retweet 14Likes

2021.1.29

2021.1.29

来年から施行される新法一覧の中で、一番目をひいたのはポイ捨てに罰金が課せられることになったというもの。ポイ捨てはこれまでも禁止されていたが(そうだったのか!?)新年からはタバコの吸殻などの小さなゴミのポイ捨てでも800クローナ(約1万円)の罰金が科せられる。

タバコの吸い殻もそうだが、最近ではマスクも落ちているし、週末にビールやワインの空き瓶が道に捨てられていることも結構よくある。なので、この新法は大歓迎だが、しかしただでさえ警察は人手が足りないといっているのに、こんな罪を取り締まっている暇はあるのだろうか? それに仮に私がポイ捨てをする人を見かけたとして、いったいその時にどうすればいいのだ?

銃撃事件とか女性への暴力とか、警察にはポイ捨ての取り締まりをしているよりも、もっと他に時間を割いてほしいものがあるぞ。

そこで、警察がポイ捨て取り締まりエージェントと契約を結び、ポイ捨てを見つけたエージェントがその場で罰金を徴収するというのはいかがだろう? 集めた800クローナのうち400クローナをエージェントが懐におさめ、残りの400クローナを後で警察にもっていく? もちろん私がポイ捨て取り締まりエージェントになって、これで大金持ちになるという案だが😃 

去年、スウェーデン環境保護庁からの委託で、環境NGOが一週間ポイ捨てゴミを集めたところ、3500万個のゴミが集まり、その8割はタバコとスヌース(口に入れるタイプの無煙タバコ)だったという報告もある。

しかし、スヌースってその健康への悪影響から、EU内ではスウェーデン以外では販売が禁止されているのか。なのに日本ではしばらく前からスヌースが販売されているって、それはなんて残念な。

EU欧州連合加盟国では、公衆の健康に脅威であるとして、スウェーデン以外において販売が禁止されています。

2021.12.28

2021.12.28

前に「スウェーデンの父親の育児休暇取得率、わかりますか?」と聞かれて調べたことがあるのだが、見つけることができなかった。おそらくはたった一日休んだだけでも「育児休暇」とカウントされてしまう取得率よりも「何日取ったか」の方にスウェーデンでは重きが置かれている、と理解した。

当時(2018年)の数字では、2005年に生まれた子どもが8歳になるまでに、平均で母親は334日、父親は97日と、合計431日の育児休暇を取っていた。

今回見かけた記事では、2017年に生まれた子どもの5人に1人の父親は育児休暇をまったくとっていない、となっている。また2017年に生まれた子どもの3人に1人の父親で、育児休暇の利用日数は30日未満であることもわかった。調査したのは社会保険監察局(ISF)だ。

スウェーデンで父親だけが利用できる育児休暇が導入されたのは1995年で、その時は1ヶ月、さらに2002年には2ヶ月に増え、目下最新の2016年の改正では、父親育児休暇は90日まで増えている(母親だけがとることのできる日数も同様)。

父親向けの育児休暇は、女性の機会損失を減らそうという考え方に基づいている。

2018年にまとめた資料より

2018年にまとめた資料より

上の統計との直接の関係は直接言及されていなかったが、スウェーデン政府は外国生まれの親(いわゆる移民ですね)の間では、父親育児休暇が使われていないことに着目し、これが移民女性が職を得る機会を阻害していると考えられることから、新施策導入を検討している。

現在は90日の父親だけ母親だけ育児休暇は、低所得であったり無収入で生活保障を受けている人には当てはまらないルールだが、これをすべての親に適応させたい考えだ。同様の提案は2018年にも国会で議論されたが、その時は否決されている。

今回政府は来年春にも国会で再審議をしたい考えだが、さて、移民女性の就業率に変化はでてくるだろうか?

2021.12.27

2021.12.27

ボックスホルム(Boxholm)で作られていたチーズの工場が、700キロ離れた土地に引越しても、そのチーズを同じ名称で売り続けてもいいのか?

デンマークの巨大乳業メーカーArlaは、所有していたボックスホルムのチーズ工場をコミューンに売却。Arlaはそのチーズの生産方法とブランド名を保持し、同じチーズを700キロ離れたエステールスンドで生産し、販売を続けている。

この出来事に怒ったのはボックスホルムのコミューンと住民たち。Arlaからは同じ名前のチーズを他の場所でつくって売り続けるなどのきちんとした説明を受けていないと抗議。Arlaはコミューンからチーズ工場跡は他の目的に使用すると聞いており、問題はないだろうと考えていたことを明かす。

売却があったのは3年前だが、その後紆余曲折あって、チーズ工場跡は今度はコミューンから「本物のボックスホルム・チーズ」という名前のチーズを製造販売するという起業家に売却され、この度そのチーズの試食会が行われた。

誰がボックスホルムという名前をチーズに使うことができるのか? この件はこれから裁判で争われることになっているが、商標問題に詳しマリアンヌ・レーヴィン教授は土地の名前を商標登録することはできず、おそらくはどちらも使用独占権を得ることはできないだろう、との見解を述べていた。

ただし「本物の」という名前を使った新しいチーズには、本裁判を待つ間、「本物」という言葉を使ってはいけないとの仮の判決が言い渡しがされている。

生産地の名前に絡んだ名称といえば、こちらで時々みかけるオーストラリア産などの「Wagyu」問題に思いを馳せずにはいられない。しかし、今ウィキペディアで理解したところによると「和牛」というのは、もともとの日本在来の牛に欧米からの品種と交配された種を指すよう。

それを「和牛」と呼んだのであれば、「和牛」を「Wagyu」とされても文句は言えない?

***
大晦日のニューイヤーディナーは今年も二人で迎えましたよ。来年の元旦は大勢で迎えられるといいな

大晦日のニューイヤーディナーは今年も二人で迎えましたよ。来年の元旦は大勢で迎えられるといいな

Elle Activeの連載、1月分が元旦に公開されています。一年の計、年始めに、今年は何を食べるのか、をゆっくり考えてみるのもいいかもしれません。よかったら下記のリンクからどうぞ!

では、2022年もどうぞよろしくお付き合いください!

無料で「北欧通信」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら

誰でも
今月のエル連載コラムが公開されました
読者限定
株主総会 新潮流 / 欧州議会とペトロポピュリズム
読者限定
2024年夏にまたお会いしましょう!
読者限定
破産したHövding 革新的な製品と特許の関係
読者限定
白樺からゴム
読者限定
減り続ける女性経営陣と、H&Mの今
読者限定
無人スーパー、無人図書館、無人ジム
読者限定
スウェーデンの小さな村は、どのように"三方よし"の訪問介護サービスを提...