ニュースレター swelog weekend のご紹介

スウェーデンのニューウォッチブログ「swelog(スウェログ)」は、2021年4月からニュースレター「swelog weekend」を始めることになりました。毎週日曜日に無料で配信するこのニュースレター。今日はまずswelog weekendがどんなものなのか、サンプル版を作ってご紹介したいと思います。
ブロムベリひろみ 2021.04.01
誰でも

みなさま、こんにちは👋 

初めまして、の方も多いかもしれません。ブロムベリひろみと申します。私は2018年からスウェーデンのニュースを毎日ひとつ取り上げて紹介するブログ「swelog」を書いています。次の週末からこのtheLetterというその名もシビレルステキなサービスから、みなさまにニュースレターをお届けできる運びになりました😊

記事を毎日更新しているswelogでは、これまでもその一週間の記事を全部まとめて、希望される方にメルマガという形で配信していました。これから始まる「ニュースレターswelog weekend」は、その形をさらに進化させ、購読者の方限定で気になる情報をお届けしたいと考えています。

具体的には、毎週のレターは2部構成となります。前半はその一週間のブログ記事をリンクで紹介し、また私の周辺で起こったちょっとしたことをブツブツとお話したいな、と思っています(近い将来「北欧ぼやき漫談」というポッドキャストを作って連動したいという密かな野望もあります😅)

そして後半は日々のニュースを追いかけるだけではお伝えできないもう少し大きな潮流を、私が強く興味を持っているスウェーデンの「ニュースメディア・報道のあり方」「著作権ビジネス」と「新しい技術や考え方、法令が私たちの暮らしをどう変えていくのか」の3点に比重を置きつつ、書いていきたいと思っています。

まずはごちゃごちゃ言ってないで、どんな感じになりそうか、先週のブログ記事と以前発表した少し長めの記事を使ってご紹介します。

2021年3月22日〜27日のニュース記事

3月28日(日)から夏時間に移行したスウェーデンでは、眠りに関する科学番組が放送されていました。夏時間は健康への悪影響のこともあり、この先廃止される予定でしたが、EU全体でどう変わるのか意見がなかなかまとまらなかったところ(「やっぱりややこしすぎるでしょ、その夏時間廃止案 -swelog」)へコロナがやってきて、変更がいつになるのかは今のところほっとかれている感じです。

国やEUが何もしてくれなくても、私たちはグーグーとよく寝ることでこの夏時間がもたらす健康問題を乗り切れるので、ぜひ堂々とよく寝ることを優先させてくださいね😴

またコロナ関連では、今、新規感染の8割以上が変異種という地方もあることや、ワクチン計画は行きつ戻りつで毎日最新状況がコロコロかわることなど、全体としては今週もやはりコロナのニュースが多かったですね。

あと、めっちゃ高いスパコンを買ってもらった(?)研究者の、子供のような本当に嬉しそうな顔には癒やされましたが、スウェーデンのフィンテックスタートアップの超加熱しそうな大型IPOの気配に、ちょっとだけシラケたりしてました(2015年くらいには「ユニコーン」と聞くとワクワクしてた私は、いったいどこへいったのか?)。

でも今週一番ビックリしたのは、スウェーデンでは野外でのスカウト活動が再び人気に!という記事について書いている時に知った、日本のスカウトの現状でしょうか🤔

ざっと読んだだけなので、私が問題を理解していないだけなのかもしれないが、ジェンダー共同参画が問題になっているのに、誰も「ボーイスカウト」という日本連盟の名前を問題にしてないのだろうか? よくわからん。

おそらく日本ではガールスカウトが別組織で活動しているからということだと思うが、ボーイスカウト日本連盟の英語名はScout Association of Japanという不一致も変だ。さらには、すみません、名誉役員に森喜朗さんの名前も見つけてしまったよ。うーん 

皆さまも、むむ、これは? と思われるものがあればぜひ下記のリンクからどうぞ。子供と若者の間でコロナ感染者が増え続けているのも気になりますよね。

今週は「スーパーマーケットが脱プラしてみたら!

さて、一週間のニュースをお伝えしたあとは、少しまとまった記事をお届けしようと思っています。今回の紹介記事では設定しませんが、実際にはウェブ上でも読める部分は上のブログ記事の紹介までとなります。購読者登録をしていただくと、このニュースレター全体をメールで受け取れるほか、theLetterサイト上のswelog weekendのページ(このページです!)でもいつでも読むことができるようになります。

今回は2019年11月に書いた「スーパーマーケットが脱プラしてみたら!」という記事をサンプルとして紹介します。

***

脱プラ、ノープラ、プラなし」。プラスティックごみ問題の深刻化に伴い、プラスティックをなるべく減らした暮らしを実践する人も少しずつ増えてきた今日この頃。スウェーデンではスーパーがプラスティックを使った製品を棚からすべて取り除くという事態が発生! さて、どうなった?

一晩でスーパーの棚が空っぽに

2019年10月29日火曜日の朝、ストックホルム郊外のとあるスーパーマーケットにきた人たちは驚いた。いつもは食品や雑貨でいっぱいの棚が空っぽになっていたからだ。

このスーパーでは、前日夜10時の閉店時から朝の2時までの間に、包装にプラスティックが使われている商品をすべて棚から取り除いてしまった。残ったのは果物や瓶詰めや缶詰、紙袋に入っている小麦粉などほんのわずかな商品だけ。

インスタントコーヒーのようにガラス瓶に入っていても蓋がプラスティックだったり、一見、紙の箱でもその中にまたプラ袋があるといったものもすべて除いてしまうと、このスーパーで扱っている5005品目の実に93%にあたる4671品目が棚から消えた

下のビデオ(3分9秒、英語音声・英語字幕)ではこのゲリラ的プロジェクトの様子をみることができる。

企画者も買い物客も驚いたプラスティックへの依存度

この「プラなしスーパー」を実現させたのは、スウェーデンのa good companyというスタートアップ企業だ。私たちの毎日の生活がいかにプラスティックに依存しているかを広く消費者に理解してもらうために行った企画だった。

舞台となったスーパーは、スウェーデンの最大手スーパーチェーンICAのお店の中でも小規模店フランチャイズのICA Nära Annedal。「プラなしスーパー」はこの日の朝7時から9時までの限定で実施され、午後には通常の営業に戻ったそうだが、この短時間の「プラなし状態」はこちらのテレビや新聞でも取り上げられちょっとした話題になった。

a good companyは持続可能な消費生活への啓蒙と製品販売を行うスウェーデンの会社で、具体的には自分たちで開発した石からできた紙を使ったノートや、竹でできたカテラリーセット/ストロー/歯ブラシ、またペットボトルを減らすためのウォーターボトルといった製品を自社サイトで販売している。

この”びっくりカメラ”のような朝を企画したCEOのアンデーシュ・アンカールリッドは、自身も小さな子どもを持つ父親であり、毎日の買い物ででる大量のプラごみに驚き、私たちはいったいプラスティックにどれくらい依存してしまっているのかを単純に知りたくなり、この「プラなしスーパー」を実現させた。

やってみて、ほぼ空っぽになってしまった棚をみて驚いたのは彼だけではなかった。スーパーの従業員もやってきた客も同様に強い衝撃を受けた。しかし客のほとんどは買いにきた商品が棚になかったにもかかわらず、企画の意図を知り、驚きはしたもののこれを現実を捉える機会として楽しんだようだった。

少し気をつけるとどんどん減らすことのできるプラごみ

スウェーデンの私の暮らしでも、また京都の実家に帰った時でも、プラスティックのごみは気をつけていないとあっという間にたまってしまう。しかし、ちょっと気をつけるだけでかなり減らすことができるもの事実だ。

スーパーのレジ袋以外にも他のお店でもらうショップ袋を断るとか、プラ容器に入った飲み物、お弁当は買わないようにするとか、小さな心がけで大きな差がでる。こちらは小さな心がけで京都で敏捷力を鍛えた話👇

昔の乾物屋さんのように、マイ容器を持ち込んで必要な分だけ食品を買うことのできるお店は、スウェーデンでも日本でも少しづつ増えてきているが、そこまではできない、したくない人もほんの少し気を配って選択するだけでプラごみはどんどん減っていく

こちらはスウェーデンのマルメの食品量り売りショップGram。 © Hiromi Blomberg

こちらはスウェーデンのマルメの食品量り売りショップGram。 © Hiromi Blomberg

こちらは京都の昔ながらのお肉屋さんw © Hiromi Blomberg

こちらは京都の昔ながらのお肉屋さんw © Hiromi Blomberg

生分解プラスティックや他の包装材もどんどん増えている

プラスティックの使用総量を減らすことはもちろん必要だが、食品だけに限ってみてもプラスティックにしかない衛生、保存、運送上の利点もある。今すぐプラスティックをすべてやめることは現実的ではないが、必要のないプラスティックはどんどん排除していくことはとても大切。さらに今後は、従来のプラスティックを代替できる素材の研究がますます進みそうである。

私はスウェーデンのニュースウォッチをして、未来の景色を変えてしまうような面白い動き見つけては毎日ブログに書いているが、この1年だけでも「リンゴからできていて最後には食べることのできる使い捨て(食べ捨て?)食器」や「木からできたプラスティク」など、興味深いものがいくつもあった。

日本はプラスティック問題課題解決先進国になれる、と思う!

また、日本にいるとあまりにも当たり前すぎて感動する人もいないと思うが、海外に住み始めると日本の食品パッケージ技術がどれほど優れているかに改めて感心する。鮮度を保つため、また開封したあともきちんと保存できるように、恐ろしいほどに気配りされた(時には無駄な!)最新で細心な配慮が至るところに施されている。

今はこの配慮が「少しでも新鮮な状態でおいしいものを届ける」という目的に特化されているように思うが、こんなすごいことができる日本人に、プラスティックごみ問題も解決するパッケージ技術の開発をやってもらうと世界をリードする技術革新が起こる! と私は信じたいし、日本がプラごみ問題の輸出国ではなく課題解決先進国になってほしいと、心から思う。

京都で母にゴミの分別のやり方を教えてもらうたびに(もしくは「ダメ出しされるたびに」😅)、こんな結構ややこしいことを行政側も生活者側もわりと普通にできるのであれば、少し活動の方向性を変えるだけで、日本だから、日本人だからできることはものすごくたくさんあるように思える(スウェーデン人はこんな細かいごみの分別はできないので、その大雑把さを最初から考慮して処理している)。

ノープラ生活で生まれるコミュニケーションと未来

少し前にNHKのディレクターが「ノープラ生活」をやってみた番組のまとめがすごかった。プラごみ問題に興味のある人で、まだこのサイトをチェックしていない人にはぜひ一読されることをおすすめする。

しかしもっとすごいのは、この記事の中でも「学生さんに「プラスチックをちょっと注意しながら生活してみなさい」と言ったところ、今までの半分以下の使用量で済んだ」ということが報告されていることだ。ほんの少し意識することで、やはりプラごみはかなり減るのだ。

日本でもスウェーデンでも、プラスティックを減らす生活についてもっと知りたい人は、こちらの「プラなし生活」のホームページインスタグラムがインスピレーションを与えてくれるので、おすすめだ。

上の「ノープラ生活」に取り込んだNHKのディレクターが「ノープラをやることで、自分が住む街を知ることができた。これまでになかったコミュニケーションがあった」とまとめているのもなかなか興味深い。利便性優先の生活ではないので、自分でいろんな工夫や準備も必要になり、脳も活性化されることも私が保証する。

興味をもってここまで読んでくださった皆さんは(ありがとう!)、次にコンビニやスーパーに行ったら、ぜひプラスティックが使われていないパッケージを探してみてほしい。一体どれくらい見つかるかな?

***

ということで、登録いただくとこんな感じのニュースレターが届きます💌 余談ですが、上のノープラ生活に関しては、今『人新世の資本論』が超話題の齋藤幸平さんが、この間毎日新聞の連載上で脱プラ生活を報告していました。(タイヘンそうだった!)

このニュースレターは毎週日本時間の日曜日の朝に配信予定で、購読は無料でいつでも解約できます。ご縁を感じていただければぜひ! また、購読者さま限定で直接コニュニケーションできるレタールームというお部屋(?)も開設する予定です♪ 楽しみです。

では、Vi ses på söndagar!  (日曜日にお会いしましょう!)

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