パンデミックとメディア

パンデミックでニュースの視聴や購読が増えたことは間違いないけれど、例えば通勤することが極端に減ったのこの一年で、ポッドキャストやオーディオブックへの接触状況はどう変わったのか? スウェーデンのメディア業界紙、Dagens Mediaの多数の記事からパンデミック化のメディア、コンテンツ接触状況をまとめてみました。
ブロムベリひろみ 2021.04.11
誰でも

初回のニュースレター、スウェーデンの個人情報の記事はいかがだったでしょうか? 

多くの方に読んでいただけて、また新しく購読を開始してくださった方もびっくりするほど多く、とても嬉しいスタートを切ることができました。ありがとうございます😍 

これからしばらくはランダムな話題とランダムな形で書いていきたいと考えていますので、こんな話題や構成がよかった、悪かったなど感想などいただれば嬉しいです。今日のレターの最後には、感想をいただくために新しく導入する仕組みもご紹介しますので、最後までよろしくお付き合いください♪

2021年4月4日〜4月10日のニュース記事

さて、今週のブログ記事は以下の6つでした。

土曜日にNHKや毎日新聞の記者の方もツイッターで話題にしていらしゃっていましたが、これからの報道は何を扱うにしろ気候危機問題から独立した形では行うことはできない。

Kosuke Hatta 八田浩輔
@kskhatta
NHKは局内横断の環境取材チームがあるんだ。いいなあ
報道機関で環境・気候変動は科学取材を担う部の記者がやるという認識も体制も変わってきましたよね。今や主は経済だし、政治、外交・安全保障、人権、労働などあらゆる問題に通じる。
で、毎日新聞外信部も今春、気候変動担当が新設されました🎉
田村銀河 Ginga Tamura🌍 @ginga_tamura
新たなキャンペーンが始まりました🎉 局内横断の環境取材チームとモバイル動画チームのコラボで、これからも環境の話題を出していきます。#あなたと選ぶ未来  第一弾は@MotoyoshiOKAMO1 記者による話題のプラ新法の関連です👇 https://t.co/sb42lpCwkP
2021/04/10 08:47
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その意味で、スウェーデン人の半数がアクセスする超人気のネットサイトを持つタブロイド紙、アフトンブラーデットが、環境学で国際的な第一人者として活躍するヨハン・ロックストロームを審査員に迎えて、気候危機ジャーナリスト賞を設立する、というニュースの意味は大きいと思いました。

あと、先週のweekendの個人情報の記事を読んでいただいた方には、「頭の中身は秘密にしておきたい」というこちらのブログ記事👇もぜひ読んでいただければ。

スウェーデンに暮らす私たちは、個人の属性情報が世の中に出回っていることにはけっこう慣れているけれども、それでも自分の頭の中身を勝手に覗かれて情報を集められることは嫌う、という調査結果のことを書いています。

それ以外はワクチン、アルコール依存症、ツイッターと6G(!)のニュースが続きました。

今週のテーマ・パンデミックで変化したメディアとコンテンツ視聴

さて、今週はパンデミックの中、私たちはどんなメディアに接して、どんなコンテンツとつきあっていたのか、その潮流をみていきたいと思います。取り上げるデータの主なものは、スウェーデンでメディア、広告、マーケティングなどのニュースをデイリーで伝えている『Dagens Madia(今日のメディア)』の記事を参照しています。

私は日本では広告代理店やコンテンツ企業(ちょっとイヤな感じの言葉だな、すみません🥺 電通とディズニーです)で働いた経験があり、業界情報としてどんなニュースがあるかに関してはおおよその見当がつきます。

Dagens Mediaのニュースは早くて、かつ結構深堀り。生々しい数字がバンバンでてきます。また「会社」を扱った記事ばかりではなく、こちらでは広告業界に限らずニュースに携わるジャーナリストも転職が多いので、誰がどんな記事を書いたかとか、誰がどんな企画で成功したかなど、人の名前を前面に打ち出したニュース 記事が多いといった印象をうけています。

さて、パンデミック下で目立ったのはいわゆる新聞社の底力だったと思いますが(新聞社の売上はもちろん紙よりデジタルが伸びています)私が一番あれ!と思ったのはオーディオブックの売上でした。通勤する時間が減っても伸びてる? それに「パズル」も!

ニュースメディア

まずは若い人の間でテレビのニュース番組の急激な伸びが目立ちます。スウェーデンの国営放送SVTがまとめた2020年の視聴傾向では、SVTの時事ニュースに接触した人は20歳から59歳の間で90%伸びました。

また大手タブロイド紙アフトンブラーデットのサイトへスマホからアクセスした人は多い日は370万人いたと、スウェーデンでのメディア接触状況を調査しているOrvesto社が発表しています。最大手日刊紙ダーゲンス・ニュヘテルの快進撃については少し前にまとめたこちらのブログ記事をどうぞ。

ポッドキャスト

ポッドキャストの製作・配信プラットフォームを提供するAcast(アメリカの企業です)によると、ポッドキャストの視聴状況には2020年の4月くらいからはっきりとした変化がみられ、それまでの朝と夕方〜夜の通勤時間帯に集中するという形から1日を通じて聞かれる形に変わるとともに、またその一日の聴取時間も伸びてきています。特にヨーロッパではお笑い系のポッドキャストを聴く人が20%も増えました。先行きの見えない暗い世の中で、お笑いで気分を変えたい人が多かったようですね。

Acastはまた2020年3月には、家で使用するものであるAlexaとChromecastを使っての聴取時間がそれぞれその前月に比べて26%と35%増加したことも発表しています。

動画配信

ネットフリックスは全世界で伸びたことは間違いなく、同社の株式の時価総額は2020年3月にはディズニーにせまる規模になりました。一方、スウェーデンではディズニーが自身の動画配信『Disney Plus』をコロナ禍真っ最中の昨年の9月に始動させました。スウェーデンのテレビ、動画配信の視聴率調査を手掛けるMediavisionは、Diseny Plusはラウンチから数週間で45万の加入契約を獲得したと伝えています。

音楽配信

スポティファイはパンデミック下では、ニュースとそして落ち着いた感じの音楽や瞑想のポッドキャストの聴取が増えた傾向を発表しています。またアップルのApp Storeでは大統領選挙のあった昨年11月にはマインドフルネスアプリの「Calm」が健康カテゴリで1位になりました。

SNS

「スウェーデン人とインターネット」調査によれば、減少傾向をみせていたツイッターもコロナ禍では少し盛り返した様子をみせています。しかし2019年との比較で、なんといっても一番成長したのはInstagramでした。Facebookもマーケットプレイスを使う人が増えました。スウェーデンで人気のロッピスがコロナで開催できなくなってしまったことを反映しているようです。

本(書籍、電子書籍、オーディオブック)

コロナで出版、書籍は伸びました。ただでさえ消滅するばかりだった本屋さんはさらに苦しい経営を迫られましたが「本」の売上は伸びています。紙とデジタルをあわせた書籍の売上は昨年の1月から8月までの間で、金額ベースで7.4%、販売部数ベースで20%増加しました。(これは9月に今年はデジタルで開催されたヨーテボリのブックフェアの時期に合わせて発表された数字です)

特にオーディオブックの伸びは驚異的で、売上額ベースで42.1%伸びました。逆にこれは通勤時間が減った影響か、ペーパーバックの売上は12.1%減少しています。

またKantar-Sifoの調べでは、スウェーデンのオーディオブックサブスクサービス最大手のStorytelは、2020年は前年比11%の伸びをみせて月に少なくとも1回以上このサービスを使う人が65万人を超えたと伝えています。同社は2020年第4四半期の業績報告書で、有料会員数は144万2千人になったと報告しています。スウェーデンの人口は日本の約12分の1の1000万人強なので、65万人はざっと日本の780万人、144万人は1728万人に相当します。これって、すごい数字ですね。

Storytelはコロナ禍でも、つぎつぎに出版社を買い取る戦略を弱めておらず、つい先日もLind&Co社を買収しました。

本関係に関しては2月に書いたこちらのブログ記事もどうぞ〜。

パズル

コンテンツ業界のレポートにパズル? パズルって、日本だとおもちゃ屋さんで売られている印象ですが、スウェーデンでは、そういえば本屋さんで扱っていました!(ルンドで人気の文房具屋さんでも、そういえば最近おしゃれなパズルの販売を始めましたね)

スウェーデンで一番パズルを売っているのはネット書籍販売のAdlibris社で、こちらは一年でパズルの販売を300%伸ばしたのだそう。そういえば我が家でもクリスマス以降私がクリスマスプレゼントにリクエストしてもらったのが1つ、夫が自分で買ったのが2つと3つ増えましたね。これって300%増なのか?😅

***

各メディアの状況をさっとみてきましたが、どう思われましたでしょうか? 自分の実感と合ってる? いや、意外なものが多かった? 感想は、じゃ、じゃーん!(冒頭でお知らせした新しい仕組みを発表します!)、このメールから簡単にtheLetterの仕組みを使って私宛に返信を送っていただけるようになりましたので、ぜひこの機能使ってみてください! いただいた返信で他の購読者のみなさんともシェアしたりすると面白いのではと思ったものは許可をいただいて次のレターなどまたご紹介させていただければと思っています🤗

そして初回のレターではメンションしていませんでしたが、このtheLetterのサービスの利用規約はいつでもサイトからご確認いただけますので、まだ読んでないよ、という方はぜひ一度ご確認ください。この使用条件、法的文書ですが、私は「書き手」、みなさまは「読み手」と温かみのある言葉で定義つけがされていたりして、とても好印象をもちました。theLetterの運営のかたがたもステキな人たちで、ますますこのレターをいいものにしていきたい気持ちが自分の中で勝手に高まっております😤

***

そして、ちょっとお詫びとお知らせですが、日本時間の日曜日の朝に配信します! と言っておきながら、この第二回目からさっそく配信時間が遅れてしまいましたが、実は急遽日本に行くことになり、今このレターを配信したらすぐにその足で、スウェーデンからデンマーク、オランダ経由で関空に向かいます。その準備で、渡航の条件調べたり、PCR検査受けたり、荷造りしたりして配信が遅れてしまいました。もしも朝に届くのを楽しみにしてくださった方がいらっしゃたら、本当に申し訳ありませんでした🙇‍♀️

よって、これから14日間ほど、日本に着いたら着いたで隔離生活が待っているので、毎日のブログの写真が単調になりそうです。すんまへんー。いったいどういう感じになるのやら🤔

あ、ぜひレターの感想を返信機能で送ってみてくださーい! では行ってきます!

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