ニュースとジェンダー

夏の雑誌 / 五輪と気候でモヤモヤ / ニュースとジェンダー / グースベリー
ブロムベリひろみ 2021.07.25
誰でも

夏の雑誌〈今週のフィーカ話〉

IT IS Mediaという出版社からでているRUMシリーズの雑誌を2冊買ってみた

IT IS Mediaという出版社からでているRUMシリーズの雑誌を2冊買ってみた

久しぶりに駅のキオスクで雑誌を買いました。

スウェーデンでは雑誌は本屋さんでは売っておらず、また定期購読が主流だったりするので、もともと街で雑誌を買う機会は少なかったですが、インスタやYoutubeの影響で雑誌市場もどんどん縮小しているのは世界共通。

さらに最近はコロナで電車に乗ることもなく一般雑誌を目にすることもありませんでしたが、今回久しぶりに駅のキオスクに立ち寄ったら、夏休みのせいもあるのかもしれないけど雑誌コーナーが空き空きで寂しい感じになっていました。雑誌はこの世の中から消えゆく運命に? (日本の本屋の女性誌コーナーはもうカバン売り場になってますよね?)

私がスウェーデン販促業界の七不思議の一つと認定している「あるモノの需要が一番高くなった時に値段を下げる」というこの現象は、雑誌業界でも健在でして、夏は旅行に出かける機会が増えまた時間もたっぷりあるので、普段は手にとらない雑誌を買う人が増えます。そんな時によく見かけるのが、同じ出版社からでている2つの雑誌をバンドルして1冊の料金で売ったりするプロモーション。

私が買ったのは「RUM」という括りで何種類もインテリア雑誌を出している出版社が、それぞれの雑誌の価格を半額にして売っていたRUM hemmaとNya RUMという2冊。別に2冊買う必要はなかったのですが、わー半額か! となんとなく買っちゃったので、これが販促効果というものか?

表紙と中身をざっと見ただけではこの2冊の違いがいまいちよくわからない買ったけれど、一応全部目を通してみた結果、 掲載されているものの価格がhemmaの方がお財布に優しく実用的でした。Nya RUMの方は製品紹介に価格が記載されていないことも多く、価格を気にしないでも買い物できる人か、具体的な買い物というよりはインスピレーションを受けるための雑誌という印象を受けました。

そして結局、両雑誌の記事の中でもおしゃれなインスタアカウントを紹介する企画もたくさんあって、やはりインスタがあればこれからはコンテンツはそれでいいのかと一瞬思いましたが、私の場合は、それでも雑誌という「形」で読めてよかった。内容だけならインスタで十分なのかもしれませんが、雑誌はそれを読むためのゆったりとした時間を、お金を出して買ってるということかもしれませんね。

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五輪と気候でもモヤモヤ〈今週のニュース〉

さて、ニュースの方は、なんだかすっきりしない1週間でした。異常気象の心配をするロックストロームの話を聞いてよけい心配が増したりしても、私がなにか速攻で具体的なことができるという話でもないし、モヤモヤ。オリンピックはなんだか始まっちゃったし、モヤモヤ。なんだか、あれもこれも、モヤモヤ。

一番痛快だったのは、こんなもう自分たちの好きなことをトコトンやってる突き抜けている人たちの話かな? 楽しい趣味の時間に、なんでこんな修行みたいなことやってるんだろう? って私も寒冷浴の時に、時々思いますな。

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ニュースとジェンダー〈今週のテーマ〉

グローバル・メディア・モニタリング・プロジェクト

グローバル・メディア・モニタリング・プロジェクト(GMMP)をご存知でしょうか? これは1995年の第4回国連世界女性会議で第一回目のモニタリング結果が発表され、また最新の2020年の調査には世界の116カ国が参加した、5年に一度のモニタリング・プロジェクトで、メディアにおける女性の地位向上やステレオタイプな表現を是正することを目指し、提言を行っています。

スウェーデンではヨーテボリ大学のジャーナリズム・メディア・コミュニケーション学部(JMG)とリンネ大学のFOJOメディア研究所がスウェーデンの現状に関するモニタリングを行い「Räkna med Kvinnor」という刊行物にまとめています。

昨年のモニター調査は9月29日に行われており、その日のニュースに出たり発言したりした人物のジェンダーを分析しています。女性は世界の半分を占めるのに、世界全体の結果では、ニュースメディアの女性率は4分の1の25%にとどまっており、あまり改善の兆しはみられません。

しかしながら今回のスウェーデンの調査では、この女性率が前回の31%から38%まで上昇しました。

Räkna med Kvinnor調査レポートより。左がスウェーデンの対象メディア、右が世界全体での男女比率

Räkna med Kvinnor調査レポートより。左がスウェーデンの対象メディア、右が世界全体での男女比率

「Räkma med Kvinnor」のレポートをまとめたヨーテボリ大学JMGのマリア・エドストロームさんは、この結果はスウェーデンの各メディアが(女性率を高めるための)戦略を練り、システム的に対応を図ってきた努力の現れだと話しています

ジェンダー比率に意識的に注意を払わないと、変化は起こらない

新聞の記事のジェンダー率を計測するルーツのことなどを小耳に挟まれたことがある方もいると思いますが、今回改善されたスウェーデンの結果は、各メディアがニュースの中のジェンダー平等に注意を払い、きちんと計測・評価を続け、改善するための具体的な方法を模索してきた結果だとエドストロームさんは説明しています。

しかしニュースの中での女性率は増えたとはいえ、ニュースに登場する「専門家、エキスパート」のジェンダー比率をみると、ここではスウェーデンでも女性比率はたったの21%。エドストロームさんは「メディアで話すということ自体が一種の権力を示すことになるので、ニュースの編成局はコメントを求める人のジェンダーにもっと自覚的にならないといけない」と話しています。

ちなみに、スウェーデンではテレビでニュースを伝えるキャスターのジェンダーは、2020年の調査では、女性が77%と圧倒的多数を占めています。ニュースのレポーターでは比率はほぼ半数で男性が54%。また新聞やテレビ、ラジオの編集部や編成局で働く人の女性比率は長い間30%から変化していません。

おはよう日本とニュース7を久しぶりにみてみた

今回のGMMPの話題に注目したのは、NHKワールドのサイトで「おはよう日本」と「ニュース7」を日本語のままで観ることができるようになったのに、しばらく前に気がついたからでした。NHKはジェンダー比率によく配慮していると思いますが、それでも時々違和感のあることも。さらにはポッドでよく聴いている日本のラジオ番組の中には、弁護士として出演している女性にアシスタント的な役割を演じさせたりするものもあり、まだまだメディアの中での女性の役割にはステレオタイプなものが多い。

エドストロームさんは「スウェーデンのメディアはジェンダー平等に関しては、一般社会よりも遅れている」といいます。そしてそれは権力構造に関するメッセージを送ることになるので、是正していく努力はとても大切だとも話しています。

日本もGMMPに参加しています!

GMMPの調査は日本でも早稲田大学政経学部の高橋恭子教授がモニタリング活動を他機関を共同でまとめていらっしゃるようです。ネットで見つけた日本語での中間報告には、上のスウェーデンのレポートにあったような数字での分析結果は見つけることができませんでしたが、ジェンダー視点で見た時にバランスを欠いているニュース例などが挙げられていました。

さらには世界の状況をまとめたサイトに、日本の状況だけを抜き出した国別レポートもありました。これによれば日本の新聞とテレビでの女性比率は、スウェーデンの38%にははるか及ばず、また世界平均をも下回る20%。また女性はニュースに登場する際には個人としての証言をすることが多く、男性は政治や経済の文脈でリーダーとして話をすることが多いことが顕著だ、と報告書にまとめられています。

ニュースメディアの中のジェンダーの状況は目標を定めて注意していけば変わるというススウェーデンの例は勇気付けられますが、それでも変化はやはり急には起こらず漸進的。それでよいと思います。まずはニュース番組の中で、男性が、女性がどういう立場で何を話しているかを、私たち一人ひとりももっと意識的にモニタリングしてみるところからやってみるといいのかな、と思いました。

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グーズベリー〈今週のスウェ推し〉

さて、今週、私が一番推したいのはグースベリー! 今年も来たよ、この季節!

スウェーデンに来て初めて知ったこのおいしさ

スウェーデンに来て初めて知ったこのおいしさ

スウェーデン語ではKrusbärといい、北海道ではグスベリと呼ばれているこの夏の果実。その実の繊細さゆえか、スウェーデンのお店で売られているのを見かけたことはないけれど、ラッキーなら道端で実っているのを見つけることもあるし、うちはコロニー(家庭菜園)に夫がたくさん植えてくれています。感覚的に一番近いのはキーウィか? 酸っぱくて熟すと甘い。ものによってはねっとりするくらい甘いものもあります。寒冷地でしか育たないのね、と思っていたけれど、アメリカ種はもう少し暖かいところでも育つようですね。

私はもうずっとこのKrusbärのとりこなのですが、その魅力にとりつかれたのは私だけではないようで、グースベリーの魅力にとりつかれた人がグースベリーの魅力にとりつかれた人たちのことを書いたこんな本を去年買いました。

グースベリーの歴史・栽培法・レシピに関するオタク情報が満載

グースベリーの歴史・栽培法・レシピに関するオタク情報が満載

私の夏休みも始まったので、これからまだ読めていない箇所を読みたいと思います。この著者の一人Jens Linderはダーゲンス・ニューヘテルとかにもよく書いているフードジャーナリストで、以前彼が共著しているBastu(サウナ)の本を買ったら、やけにレシピの多いサウナ本だったことがあります。よっぽど食べることが好きな人か! 生のグースベリーが手に入らない日本の方はぜひジャムを探してみてください!(スグリという名前で売られていることもあります)

で、私は夏休みを前に、火曜日の朝にちょっと軽く走っておくかと、テキトーに走っていたら、へ?という”へ”みたいな衝撃で右足を捻挫したということに家に戻ってから気がつき、目下安静中。しばらくは家からも出ず(いや出れず、か?)読書と映画鑑賞に邁進したいと思います。やっぱりものごとはテキトーにするとよくないです!

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では、また来週〜 👋

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