学校株式会社

スウェーデンでは株式会社が小学校や中学校を運営することができる。運営費は税金から支払われているが、最大手学校グループは効率的な経営で利益を出し続け、創業者は株式の売却で巨額の利益を得た。しかもその学校は保護者や生徒に絶大な人気を誇り、グループ校全体で24万人の入学希望者の列がある。では、問題はどこにあるのか?
ブロムベリひろみ 2022.01.09
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swelog weekend nr 40

〈今週のトピック〉  学校株式会社
〈今週のブログ記事〉 「大企業経営者のための気候変動学校」
〈今週のスウェ推し〉 Veganuary

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学校株式会社〈今週のトピック〉

スウェーデンのフリースクールとは?

スウェーデンのフリースクール(Friskolor)は、運営資金は地方自治体の税金で賄われているが、運営は別の主体が行う形の学校で、経営面ではアメリカのチャータースクールと同様の方式だ。

チャータースクール(Charter School)保護者・教員・地域団体などが州や地域の教育行政機関から認可(チャーター)を受けて設置し、公費で運営される、公設民営型の学校。教育関連法規の多くが免除されるため、独自の教育が可能。1991年に米国ミネソタ州で初めて導入され、全米に広がった。

スウェーデンでフリースクールを認可する法律ができたのは1992年。最新(2020/2021年)の統計では、小中学校にあたる基礎学校で822、高校では449のフリースクールがあり、スウェーデン全体で基礎学校の17.1%、高校では35.3%がフリースクールとなっている。

生徒や保護者は好きな学校を選んで、通うことができるが、費用は地方自治体からフリースクールに生徒一人あたりで支払われるため、生徒側には一切かからない。

アメリカなどチャータースクールの形を持つ他の国と比べてスゥエーデンで大きく異なるのは、この国では財団、組合、非営利団体などに加えて、株式会社が学校を運営することが認められている点である。学校庁が2020年に発表した統計では、小中高のフリースクールの70%は株式会社により運営されている。

インターナショナル・イングリッシュスクール

フリースクールはカリキュラムや信条など、公立校では提供していない特徴を持つものが多い。インターナショナル・イングリッシュスクール(以下IES)は、その名の通り英語教育に特色があり、1993年に情熱的な教育者バーバラ・ベリストロームにより設立された学校で、秩序ある風紀と高い教育の質に定評がある。

IESは今では全国に42の基礎学校と1つの高校を運営する学校チェーンで、今年の秋にはさらに3つの新しい基礎学校の開校も決まっている。スウェーデンのフリースクールは全体でみると規模の小さなものが多いが、IESでは1校あたり平均して723人の生徒がおり、これは公立学校の256人と比較すると非常に大きい。IESグループ全体で約3万人の生徒が通っており、IESの公表数字によると、入学希望の登録者数は合計24万人にも達する。あまりの人気に子どもが生まれるとすぐに入学の希望登録をする親が後を絶たない。

税金で学校を運営して巨利を得る

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