The Swedish Family

広告なしの新聞の値段 / 戻りつつある日常 / The Swedish Family - ユーチューバー家族の稼ぎ方 / 北欧水彩画美術館
ブロムベリひろみ
2021.08.08
誰でも

広告なしの新聞の値段〈今週のフィーカ話〉

日本に帰国する度に紙の新聞が中高齢者向けのサプリメントや通販の広告で埋め尽くされているのを見てちょっと悲しい気持ちになったり、新聞系のニュースサイトでは購読料を払っていても強制的に見せられるダーゲット広告に辟易したり。広告主のおかげで私たちは無料や手頃な値段で様々なコンテンツにアクセスできるわけですが、広告との距離のとり方は本当に難しい。

そんな中、ふとしたことから新聞系ニュースメディアのダーゲンス・ニュヘテル(DN)が「広告を表示させないプラン」の提供を始めていたことを知りました。

  ネット上のDNのサイトとDNが提供しているアプリ上での広告(Annons)表示を止めることができます
  ネット上のDNのサイトとDNが提供しているアプリ上での広告(Annons)表示を止めることができます

一番安いプランでは毎月119クローナ(約1550円)のDNの購読料に対して、広告表示を止めるにはさらに毎月99クローナ(約1300円)が必要になります。49クローナくらいなら検討できるけど、99クローナはちょっと高いかな。でもこれは広告に売っている私の魂の値段が99クローナということ? それであれば安すぎる? それくらい払わないか、私? すぐには決めれないので、もうしばらく検討し続けることにします。

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戻りつつある日常〈今週のニュース〉

スウェーデンでも年末・年始くらいのタイミングには三回目のワクチン接種をするという話が浮上していますが、私たちは徐々にコロナ禍がやってくる前の生活に戻りつつあるようです。私の取り上げるニュースもあまりコロナと関係ないコロナ前の色調に戻りつつあるような?

火曜日から昨日の土曜日まではちょっとした用事もあって、ストックホルムで過ごしましたが、いつものストックホルムの夏との違いは「ソーシャル・ディスタンス」のみのようにも思える。 コロナのおかげで(?)ミュージアムはどこもかしこも入場人数制限をしているので、逆にゆっり見ることができてこれは二重丸でした。

日本はこれまで感染の広がりが低いレベルで収まっていたので、今の状況がより一層深刻に思えると思いますが、ここがまた一つの踏ん張り時であるのは間違いない。Håll i, Håll ut! こんな時は自分にできることを淡々とやり続けるしかないのだと思います。

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The Swedish Family〈今週のテーマ〉

会社員からユーチューバー家族に転身

今週取り上げるのは、スウェーデンの子育て世代に人気のYouTubeチャネル、 The Swedish Familyです。

ストックホルムに住む、とあるスウェーデン家族の日常や休暇の様子を伝えるこのチャネルの登録者は30万人弱。ひと月の動画再生回数は600万から1000万回に達する勢いです。

テレビの世界でプロデューサーとして活躍していたヨアンナと、工学を修め海洋エンジニアとして働いていたアクセルのこのチャネルは、2017年の頭にヨアンナがアップした家族で過ごすクリスマスの動画で始まりました。現在共に38歳で9歳と7歳の子どもの親である二人は、2019年からはこのYouTuveチャネルの運営を専業とし、今年の4月には3人目の子どもも生まれました。

週に30時間、自由に働き、十分な収入を得る

チャネル名とは裏腹に、動画はスウェーデン語で撮影されており、英語字幕も付けられていますが、The Swedish Familyの動画を楽しんでいるのは95%までがスウェーデンに住む人。

当初はユーチューバーとして生計を立てていこうとはまったく考えていなかった二人ですが、チャネル開設後しばらくして、家族で人気の遊園地を訪れた際の動画がヒットして、一晩で1万人のチャネル登録者を得ます。それからは雪だるま式に登録者は増えていき、今では広告のアレンジを任せている代理店からのYouTubeのターゲット広告に関する支払いだけで、月に20万から30万クローナ(約260万〜390万円)になります。

ヨアンナは毎週大体30時間くらいを動画作成に費やしていて、そのうち編集作業には丸一日くらいを使ってますが、それを例えば子どもたちが寝てしまった夜になど、自分の好きな時間にできるのが気に入っているそうです。

ちなみにスウェーデンの今の仕組みでは、子どもに直接給与として支払いすることができないそうで、ヨアンナとアクセルは得た収入の一部を子どもたちの分として別に貯蓄をしています。

広告とブランドを選ぶ

25歳から44歳くらいの男女半々の視聴者を主なターゲットとするThe Swedish Familyが大切にするのは、シンプルさ。(確かに! これまでに一番多く、400万回以上再生されたこちらの動画は、とても簡単なゲームの様子を撮影しただけです。ただし、いろんな食べ物の形態を装った”お菓子”があることを知るのは私にはとてもよい勉強になりました)。

また子どもたちが楽しいと思ってビデオ撮影に参加していることも重要で、自分たちが心から楽しんでいる様子が伺える動画はよく再生されることも実証済み。映像コンテンツが洗練されすぎないことも大切ですが、撮影には複数のカメラやドローンも使っていて、まったくシロウトの動画でもない。そのあたりの、作りすぎず洗練されすぎずのバランス感覚はとても大事なのだとか。

動画には自分たちの子どもが出演しており、また視聴者の方も子育て世代なので、どのような企業や広告と関係を持つかも常に熟考しているそうです。動画の中には、コラボ企業のパンやパーティグッズを試すものもありますが、言葉はいつも自分たちの口から自然にでてくるもので、決して「セリフ」にならないように気を配っているとヨハンナは話しています。持ち込まれるコラボ案件10件のうち9件は断っているそうです。

これからの5カ年計画?

会社員をやめてユーチューバー家族としてやっていくと決めた時には、とても多くの周囲の人に止められたそうですが、ヨハンナとアクセルは今やるべきことはこれだと迷いませんでした。

The Swedish Familyでファミリー・ユーチューバーというジャンルをスウェーデンで確立した二人は(今では後発のユーチューバー家族もたくさんいます)、Dagens Mediaのインタビューで、このチャネルを英語化したりなどこれ以上大きくするつもりはないといい、またこの先の5カ年計画もないと明かします。

子どもたちが大きくなってきたら動画撮影自体が困難になるかもしれないし、またYouTubeという巨大プラットフォームが、この先どういう形で、今は収入を生み出しててくれているアルゴリズムや支払いの条件を変えてくるかも未知数です。

現時点でもThe Swedish Familyブランド名と自身のサイトででTシャツやバッグなどの販売行っていますが、これから先はThe Swedish Familyブランドと自分たち家族を切り離した形でブランド構築を進め、物販や食品の開発と販売に関わることを考えているそうです。一方で会社員へと戻る道はまったく考えていない。

 こちらは子どもの書いた絵をTシャツにしてくれる会社とのインスタ・コラボ https://www.instagram.com/p/CRMZzjtsy0D/?utm_source=ig_web_copy_link
 こちらは子どもの書いた絵をTシャツにしてくれる会社とのインスタ・コラボ https://www.instagram.com/p/CRMZzjtsy0D/?utm_source=ig_web_copy_link

しばらくは今の形でのVlogが続きそうなThe Swedish Familyのインタビューを読んでいて「悪意のあるコメントはほとんどこない」というところで思わず感動してしまいました。動画の中で再生される広告の内容の含めThe Swedish Familyにはへんな感情がかきたてられるものがなく、家族で安心して観ていられるのが、このチャネルの人気の秘密でしょうか?

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ほとんどの動画にはスウェーデン語と英語で字幕がついているので、スウェーデン語の勉強をしている人には、ぜひ語学学習用の教材としてもお勧めしたいこのThe Swedish Family。成功の秘訣の一つはこのチャネル名の強さにもあると思います。同時にこのチャネル名であるからにはそれなりのものを、と自然に背負ってきた責任感のようなものが動画のクオリティを作ってきたのかも。

どなたか、どうですか? 「The Japanese Family」という動画チャネルを作ってみては? 

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北欧水彩画美術館〈今週のスウェ推し〉

交通の便という面では少し不便な場所にある美術館ですが、周辺のランドスケープも、建物も、併設のレストランも素晴らしいので、北欧水彩画美術館 Nordiska Akvarellmuseetを紹介します。まずはこの美術館のあるSkärhamn(フェールハムン)の美しい風景を短い動画でどうぞ。

2000年に開館した、水彩画にフォーカスしたこの美術館はヨーテボリの北、公共交通機関で行くなら2時間程度の海外沿いのボーヒュースレン地方の人気の観光地、小さな港町にあります。

これまでにサルバドール・ダリや、スウェーデン人ではエルサ・ベスコフやアンデシュ・ゾーン、近年では人気の高い存命の水彩画家ラーシュ・レリーンなどの展示会を行ってきており、先週私が訪れた時には日本にも馴染みが深く、その存在感の強さでは唯一無二のオーストリアの芸術家、フンデルトヴァッサーの素晴らしい展示会を開催中でした。

水彩画美術館ではありますが、展示内容は彼の生涯に渡り制作したタペストリーやエッチングなど多彩でした
水彩画美術館ではありますが、展示内容は彼の生涯に渡り制作したタペストリーやエッチングなど多彩でした

デンマークのコペンハーゲン郊外にあるルイジアナ美術館もそうですが、この北欧水彩画美術館も、訪問の醍醐味は、展示の内容だけではなく建物としてもおもしろみ、周辺の環境や併設レストランから眺める景色などトータルな体験にあります。

いつ訪れても風が強いのに驚きますが(夏でもセーターやジャケットは必須です)、周辺の水辺や岩場、ヨットハーバーを気ままにそぞろ歩くSkärhamnで過ごす時間そのものがアートな体験。

展示内容は今回のフンデルトヴァッサー展はとても充実していましたが、以前2015年に訪れた時の展示は記憶にも残っていないくらい大したことなかったような? ということで、展示内容の当たり外れは覚悟しておいて方がいいかもしれません。

ヨーテボリからは70キロ程度の距離ですが、車でなければ電車やバスを乗り継ぎさらに一番近いバス停からも15分ほど歩かなくてはいけないそうですが、一日ゆったり楽しむつもりで訪れるにはいいところだと思います。

展示会への入場料を払うと年内有効のパスをもれなくもらえます。でも、スコーネの我が家からでさえも、なかなか気軽に行くことのできる場所ではないのが残念です。

こちらはアーティストの滞在制作向けの建物。美術館の向こう岸にあり、橋を渡って前まで行けます
こちらはアーティストの滞在制作向けの建物。美術館の向こう岸にあり、橋を渡って前まで行けます
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では、また来週〜 👋

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