アースデイ / ストックホルムの自転車事情

昨日、4月22日はアースデイだった。それに合わせて参加したエルのアースデイ企画の紹介と、今週はストックホルムへも行ったので、そこで見た最新自転車状況のレポートも合わせてどうぞ
ブロムベリひろみ 2023.04.23
誰でも
北欧通信 105
北欧通信 105
  • アースデイ / ストックホルムの自転車事情

  • 気候政策をリードするEU。遅れるスウェーデンにロックストロームが警告

  • ヨーロッパで気温が50度を超える日もそんなに遠くない

  • 歴史的なEUの気候変動対策関連案が可決されたのだけれども

  • 国会で続く抗議の叫び声

  • 世界14ヶ国から2万6000人が参加する「オーロラ23」軍事演習始まる

  • ストックホルム通勤電車で野放し系ストライキ

アースデイ / ストックホルムの自転車事情

アースデイとは1970年にアメリカのとある上院議員の呼びかけから始まった、ひとりひとりが地球のことを考えて行動しようという日で、世界中で様々なアクションを呼びかけるイベントが行われてきた。日本でも、今年も「アースデイ東京」や「アースデイ in 京都」などが開催された。

私が月に一度『スウェーデン発 みんなと地球の“ラーゴム”なくらし』というコラムを連載させてもらっている雑誌エルのウェブサイトElle Active! for SDGsは、今年もアースデイの特集ページを企画し、アースデイの起源や世界各地で行われているイベントなどを紹介していた。

去年も声をかけてもらって、コツコツやってるエコアクション(アースデイから始めよう! アクティビストに聞いた地球にやさしいエコアクション12)やアースデイに見たい映画などを紹介させてもらったのだけど、今年頂いたお題は「コンポスト」!

こちらでは生ゴミは市が回収してくれてそれでバイオガスをつくり、そのガスで市バスが走っているという、地域全体での取り組みを紹介した。私はもうすっかりこの生ゴミの処理に慣れてしまって、特になんとも思ってもいなかっただけれど、これ、改めて考えるとすごい取り組みではないか! しかもこの「生ゴミバス(!)」はルンドだけじゃなく、ストックホルムやヨーテボリ、マルメなどでも走っている。生ゴミ、素晴らしい!

またエルの特集トップページからは、アースデイ関連の他の興味深い記事へのリンクもたくさん掲載されているのでよければぜひ。こちらのリンクの記事など、エルならではだと思うし、ミシェル・ヨーを取り上げてくれてとても嬉しい♡

さて今月頭のエル連載のスウェーデンの自転車事情の記事(自転車があれば車無しでもOK? 進化するスウェーデンの自転車事情)で取り上げた、自転車専用レーンの自転車マークが気になっていた。水曜日の午後、ストックホルムでちょっと時間ができたので、さっそくそのマークを探しに行くと、すぐに見つかった!

これがあの、いわゆる男性用自転車ではない、フェミニスト自転車マーク!
これがあの、いわゆる男性用自転車ではない、フェミニスト自転車マーク!

ちょうど夕方、4時頃の帰宅ラッシュの始まる頃だったので、みんながどれくらいのスピードで自転車を漕いでいるかの動画なども撮ってみた。

また電動キックボードのケイオスぶりは少し収まっていたように思ったし(まぁ季節にもよるのかもしれないけど)、さらにはレンタルサイクル(90分以内なら11クローナ)は前よりも使われるようになったのでは、と感激。これ最近新調されたのか、自転車がやたらかっこいい。こういうところ、デザインにも力をいれると利用促進に結びつくよなーと、ホレボレとレンタサイクルを眺めていた。

ストックホルムでは、下のブログ記事で書いた「国会で抗議の叫び声を上げる人たち」のことが気になっていたので、ふと国会にも立ち寄ってみた。スウェーデンの国会は一番観光客が集まる街の中心の王宮と旧市街地(ガムラスタン)のすぐ横にあって、ほんとうに誰でもすぐに立ち寄れる場所にある。警備員やセキュリティ体制などは整っており、しっかり身体検査などされるが、このオープンな感じはとてもよいと思う。

私が行った時は主な審議はもう終わっており、軍備や一般人が所有する銃器に関する議論が行われていたが、この時の聴衆者は3名。残念ながら(?)突然抗議の声を上げる人がいて警備員に引きずり出されるという光景を目の前でみることはできなかったが、また次回ストックホルムに行った時にも立ち寄ってみよう(って、私は一体何をしに国会に行ったのやら😅)

国会の中で叫ぶ人はいなかったが、外ではニュースでよく見る政治家へのインタビューが行われていた
国会の中で叫ぶ人はいなかったが、外ではニュースでよく見る政治家へのインタビューが行われていた

昨日は私のヒーローが朝のテレビニュースに出ていた。

タイム誌の2023年の「世界で最も影響力のある100人」のうちの一人としても選ばれた、環境科学研究者のヨハン・ロックストロームは、スウェーデンはとても危険な状態にあると警告する。

彼は、EUは気候政策で主導的な役割を果たし、先日採択された一連の気候温暖化対策関連案を「極めてポジティブ」だと評価する一方で、これまで気候温暖化問題で世界を、そしてEUを牽引してきたスウェーデンが、今は遅れをとり、このまま進むとスウェーデン経済に大きなダメージを与えかねないリスク領域にいると話す。気候温暖化対策で遅れを取ると、ビジネスパートナーとして、この先選ばれることはないだろうという見方だ。

ロックストロームは、これまで常に炭素に対する世界的な取引価格が必要だと言い続けてきたが、このEUの決定により、これが近い将来実現するかもしれないと非常に前向きにとらえていることを説明する。また戦争もあってインフレなど経済的な問題が山積みの中で、このような決定を行ったEUの政治家たちの功績を讃えるべきだと言う。

彼は、普段の活動の現場がドイツのポツダム気候影響研究所だということもあってか、スウェーデンのニュースにこのような形で出演することはこれまでそれほど多くなかったように思うが、母国の危機(!)に業を煮やして、苦言を呈することに専念することにしたのだろうか? 最近のスウェーデン政府につくづくがっかりしているのだろうけど、それで彼がもっとスウェーデンのニュースにも出演してくれるのなら大歓迎だな。

SVTはこのインタビューの後、ポウルモクタリ環境大臣からもコメントを取ろうとしたが、彼女はその取材に応じていない。

スウェーデンは(というかスウェーデン政府に絶大な影響力を持つ極右政党のスウェーデン民主党は)、移民政策でもEUの取り組みにいちゃもんをつけようとしているのだが、こちらのニュースに関してはまた日を改めて取り上げることにします。

EUの環境モニタリングプログラム「コペルニクス」がまとめたところによると、2022年の夏は数多くの気象記録が更新され、1979年にコペルニクスの測定が始まって以来2番めに暑い夏を記録した。ヨーロッパの気温は世界平均の2倍の速さで上昇し続けており、工業化が始まった1800年代末期と比較して2.2度気温が上昇した。

去年の夏は英国で初めて40度を超える暑さが記録され、ポルトガルでは最高気温が47度を越した。南欧諸国では38度を超える「深刻な暑さによるストレス」な日が過去最多日数を記録した。WHOによるとEU内で少なくとも1万5000人が暑さが原因で死亡した。また干ばつも深刻で農作物の収穫に大きな影響を与え、さらには昨年の夏の森林火災による二酸化炭素排出量も過去15年間で(国によっては過去20年間で)最高値を記録した。

これまでヨーロッパでの観測史上の最高気温は2021年にシチリア島で記録された48.8度。コペルニクスは、目下進行中の平均気温の上昇傾向を考えると50度を超える気温が記録されるのは時間の問題かもしれないとコメントしている。

スウェーデンでも暑くて天気がよくて「ごきげんな」夏がまた今年もやってくるのかもしれない。去年うちのアパートで1匹だけみかけた蚊は、今年はもっと増えるのだろうか。

4月18日(火)に欧州議会で、気候変動対策関連法案が可決された。これが何を意味するのか、SVTの気候変動問題解説員が説明していたので紹介したい。

今回、欧州議会が承認したのは、2030年までに二酸化炭素排出量を2005年比で62%削減するという改革案。同時に環境規制の緩い国からの輸入品に、事実上の関税を課す「国境炭素税」の導入も承認された。

世界初の取り組みとなるこの国境炭素税は、鉄鋼やセメント、アルミニウム、肥料、電子機器、鉄鋼などの輸入品を対象とし、2026年以降でEUへの輸入品に課税される(ただし150ユーロ未満は無課税)。これによりEU内の企業が、環境規制の緩い地域からの輸入品への競争力を保つことや、EU内の企業がそのような地域へ移転することを防ぐのを目的とする。

さらに同時に二酸化酸素排出量の取引権に関わる取り決めも変更され、これまでは取引権の対象外だった航空や船舶も枠組みに入ることになり、これによ航空機やフェリーなどの料金が高くなることが予想されている。

化石燃料を使った電気料金も同様で、これがEU域内の生活者の暮らしを直撃する可能性が高いので、そのような生活者や中小企業のために、社会的な気候基金も導入される予定であることをこの記事は伝えている。資金の申請は各国政府だけができる仕組みだが、政府はこれで補助金をだしたり、また再生可能性エネルギーの促進にも使われる想定なのだとか。

18日には欧州環境庁(EEA)によるEUの新たな排出量統計も発表され、パンデミック後の2020年から2021年にかけて排出量は増加したものの、大きな流れではEU全体の排出量は減少を続けており、温室効果ガスの排出量は1990年以来30 %減少した。EU全体の経済は同時期に61 %成長したのに関わらずだ。

世界の中ではかなりラディカルな今回のEUの取り決めを手放しで喜べない、複雑な気持ちなのは、これは今すぐ全世界でやらないといけないレベルのことだと思うのだけれど、まだまだそこまで議論が向かっていない国がたくさんあるという…いや、きっとこのEUの取り組みが世界を変えていくと信じるべきかな。

国会の聴衆席から抗議の声がこだまするとの記事タイトルに、どの議論の時に誰が何を叫んだのか、と内容を確認したら、はい、あれですね、みなさん覚えているだろうか、2月末のミュージックコンテストのテレビ生中継の際に「湿地帯を回復せよ!」との横断幕を持って乱入した、その同じメッセージが月曜日の国会で叫ばれていたのだった。その時の議論の中身とその叫びはあまり関係なかったかもしれない。

議長は落ち着いて「聴衆席から意見を述べることは禁止されています。警備員に秩序を回復してもらいます」と延べ「湿地帯を回復せよ」「泥炭採掘を禁止せよ」と叫び続けていた人は警備員に引きずり出され、その後警察に引き渡された。秩序を乱した罪にあたるかどうか取り調べ中であることを記事は伝えていた。

しかし昨日の火曜日も、叫び声の内容ははっきりとはわからなかったが、開発協力・対外貿易担当大臣がロシアからの化石燃料の輸入について発言してる最中に、抗議する声が議会に響き渡り、叫び声を上げていた男性2名が議会妨害として警備員に排除され、その後警察に引き渡された。

さて、今日も叫び声は続くのだろうか?

スウェーデンに引っ越してきて割とすぐの時期に、ルンドの広場に戦車が停まっていてその周りに軍服を来た人たちがいてびっくりしたことがある。それがどういう機会だったのか覚えてないのだけど、ある種の軍事演習だったのかもしれない。

昨日からスウェーデンでは過去30年間で最大の軍事演習、Aurora 23が始まった。これから数週間にわたり、スウェーデンの陸軍、海軍、空軍、国防市民軍に加えて、14カ国から合計2万6000人が参加するこの軍事演習では、4月24日にある国がスウェーデンへの攻撃を開始するという想定で、演習は5月11日まで続く。

ここまで大規模な軍事演習の実施の決定がなされたのは実は2015年に遡るが、その後ウクライナでの戦争が始まり、スウェーデンはNATOへの加盟へと向かっているので、演習の重要性はさらに高まった。

今回の演習は軍の訓練用地域だけではなく、スコーネやスモーランド、そしてゴットランド島では、民間の土地でもおこわなれる予定。また北部ノルボッテン地域ではノルウェーとスウェーデンの国防市民軍が一緒に訓練を行う。中部のイェムテランドにアメリカの海兵隊員700名が配置されるという訓練も含まれ、スウェーデン各地で戦闘機が基地から飛び立ち、海岸線は軍艦や戦闘艇が行き交うことになる。いろんなところで戦車や軍人をみても(いまのところはまだ)あくまでも演習なので、驚きかたも中程度で大丈夫だと思う。

Totalförsvar
@Totalforsvar
Welcome to Sweden @USMC! #Aurora23
2023/04/18 01:16
17Retweet 385Likes

また今回の演習では、公営ラジオ局P4を使って、動員を呼びかける徴兵メッセージも流される予定。「これは演習です」とはっきりと伝えられるそうだけど、うまく機能すれば(どうやって評価するのかな?)今後の軍事演習でもラジオを活用していく考えだそう。やはりちゃんとしたラジオ、そろそろ買っておくべきなのかな?

ストライキはほとんどないと書いたばかりのスウェーデンで、電車のストライキが起こっている。ストックホルム中心部と郊外への通勤電車(SL)の運行を担うMTR社の運転者たちが、月曜日の朝から3日間のストライキを計画し、実際に今朝早くからいくつかの電車の運行が取りやめになっている。

今回のストライキは労働組合は賛同しておらず、運転手たちがFacobookなどで独自に計画を進めたもの。要求しているのは、MTRが乗務員の搭乗を取りやめ、電車には運転手が一人だけという形での運行を中止することだ。すでに今年の3月から約半数の電車で乗務員の乗車がなくなり、MTRは9月までにすべての列車で乗務員の同乗を廃止する計画を発表している。

昨日の夕方に見解を発表した今回の「野放し系ストライキ(Vild strejk)」を計画した200名ほどの運転手たちの一人は「組合は乗務員廃止の問題に真剣に取り組んでおらず、我々は組合を信用していない」とコメントしている。このストライキは、給与を上げるためでも、自分たちの労働条件を改善するためでもなく、電車運行に関わる安全のためにやってるとし、組合がこの問題に真剣に取り組んでくれるとは考えていないとも言う。

今朝5時すぎにまとめられたニュースでは、月曜日の早朝から列車のいくつかがキャンセルされているが、実際に何名の運転手がストライキをしているか、どれくらいの列車がキャンセルされた、もしくはされるのかなど、詳しいことはわかっていないが、SL(ストックホルム市交通局)では、いくつかの電車の駅にバスを配備して、最寄りの地下鉄まで通勤客を代替輸送する手配をしていることを伝えている。

スウェーデンの人たちはストライキには慣れていないが、電車が来ないことには慣れているので大丈夫か😅 またこの国では電車でも駅でも「係員の人がおらず、何が起こっているかその場で教えてもらうことができない」こともままあるけど、これからはこれがもっと頻繁に起こるということか。スコーネ地方の電車には、いまのところはまだ、乗車アプリの確認に来てれる乗務員の人がいるので、なんとなく安心して乗ってられるのだけれど、これに感謝しないといけないということかな。

***

では、また来週!

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