競泳選手と生理の赤い血

女性アスリートや運動選手の日常にも毎月やってくる生理はつきもの。なのに対外的にはまるで生理なんてないかのようにに行動を強いられる人も多い。タイトな水着で飛び込み台に立つ水泳選手の「血が漏れていたらどうしよう」という恐怖を、生理をもっとオープンにすることで対処しようとするスウェーデンの水泳クラブの例を紹介します。
ブロムベリひろみ 2021.05.16
誰でも

昨夜コペンハーゲンのカストロップ空港に到着し、迅速コロナテストのために作られた特別ターミナルへと、飛行機からバスで到着したのが22時30分。短い列に並んでパスポートをスキャンされた後、テスト用綿棒がはいったキットを渡され、それを持ってテスト技師のいるキャビネットへと進み、両方の鼻の穴にぐいぐいと細長い綿棒を突っ込まれて「2階で15分ほどテスト結果を待ってください」と言われたのが22時40分。

きっちり15分後の22時55分には私のパスポートの番号も検査担当医師の署名もはいった抗体検査結果陰性の紙の証明書を1枚渡されました。むっちゃ、早い! 

これがデンマークが一日10億円かけてやっている徹底的なコロナ検査の一環か! デンマークの携帯電話番号を持っている人たちは、書面ではなく携帯電話で結果を受け取っていました。(デンマークがコロナ検査にかけている費用については先週書いたこちらの記事をどうぞ👇)

その後預けていたスーツケースをピックアップして、スウェーデン行きの電車に乗った後は国境の駅Hyllieでいつもと同じパスポートコントロールがあったくらいで、新型コロナによる隔離やこの先の検査に関する情報は、スウェーデン側からはまったく受け取ることのないまま自宅に到着。

このまま隔離生活にはいったり検査に申し込んだりするのは、まったく自主的に行うという理解であっているのだろうか? 私はネットで情報を探したけど、それをやっていなければ隔離とか検査とか、まったくそんな情報は入ってこなかったんだけど🤔

関西空港到着時は、追跡アプリを担当の人たちと一緒にスマホに入れたりその動作確認をしたり、スカイプで話せるかの確認もして、山のような説明の用紙も渡された。この違いはなんなんだ! (でもここまでやっている日本の水際対策がちゃんと機能しているのか疑問っていう記事も、昨日読んだばかり😱)

ともかく、こんな大変な状況の中、日本まで行って無事にまたスウェーデンに戻れたことを私は感謝すべきですね。

しかし、日本からアムステルダムまでの飛行機は行きと同様とても空いていたけれど、アムステルダムからコペンハーゲンの飛行機は機体が小さかったこともあるのでしょうが、満席でしたよ! ワクチン接種済の人たちもちょっといましたが。

うーん、率直にいって、もう混んだ飛行機には乗りたくないなぁ。

関西空港は驚くほど人がいなくてとても閑散としていました

関西空港は驚くほど人がいなくてとても閑散としていました

2021年5月10日〜5月15日のニュース

さて、一方日本で過ごした最後の一週間の間もコツコツ(?)アップしていたswelogの記事たちはこんな感じ👇でした。毎日基本的にニュースの表題をざっと眺めて、これは詳しく読んでみたいと思った記事を取り上げています。

今週も、血液型でわかる疾患のことやら、「気候心理学者」やら、男性からの性的被害をSNSで公開する手段に訴えて、逆に名誉毀損で訴えられて有罪になった女性たちのことから、インフルエンサーと失業保険の関係や、そしてスウェーデンで最初のLBGTQのデモが行われて50年たったという話題まで様々なものを取り上げました。

これらの記事はswelog のブログサイトに行っていただければ毎日更新したものを読んでいただけますが、このニュースレターを無料購読をしていただくと、一週間の記事へのリンクをまとめたこんなニュースレターを毎週日曜日にお届けします。登録はメルアドを記入していただくだけです。よかったらどうぞ!

 私は今週の記事の中では、このすぐ下の「自身の個人情報の取り扱いのコントロール」の問題にぐっと注目してます。この先も、この議論がどう進んでいくのかをしっかり追いかけていきたいと思います。

今週のテーマ・競泳選手と生理の赤い血。タブーをやぶるスウェーデンの水泳クラブ

さて、今週のテーマとしては、ちょっと自分でも「私もそういう視点が欠けていたのでは?」と思った、女性スポーツ選手と生理の問題を取り上げたいと思います。スウェーデンのSpårvägenというトップ選手を輩出するエリート水泳クラブでの生理を取り巻く新しい取り組みが報道されていたので、こちらをご紹介します。

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「生理があるということは、恥ずかしいことではないはず」と訴えるのは、Spårvägen水泳クラブに所属する17歳のモーア・アルベヘッドさん。

モーアさんは「月経があることは”隠しておかないといけない”というのはとても変だと思います」と大手新聞ダーゲンス・ニュヘテルの取材に答えています。この記事が取り上げれているのは、生理、月経についてあからさまに話すことはスポーツの世界ではスウェーデンでもまだまだタブーだということ。

特に若い、経験の浅い選手にとって、飛び込み台に立った時に「月経の血が水着から漏れてしまっているのでは?」という考えは恐怖で、これが頭に浮かぶと競技に集中することは難しくなり、パフォーマンスに大きく影響を与えます。

モーアさんと同様Spårvägen水泳クラブに所属するエミリア・ヴルリッチさんももう少し若い時は同じような強迫観念に取り憑かれたそうですが「そもそも自分が生理中であること、月経の血が流れてしまって他の人にもわかることを、なぜそんなにも恥ずかしがったり、恐れたりしないといけないのか?」を考えるようになったと言います。

水泳クラブでは、この若い選手たちの考え方に呼応するように、更衣室にタンポンの真っ赤な無料提供機(自動販売機のような形だが、必要な人は無料でタンポンを入手できる)を設置しました。これで、みんながもっと生理についてオープンになれるきっかけになればと期待しているそうです。

モーアさんは17歳になった今は大丈夫だけど、もっと以前の生理が始まったばかりの時は特にコーチが男性だっりしたら「急に生理になってタンポンが必要です」とはとても口にだして言えなかったといいます。「もっとみんなが気兼ねなくオープンに話せることが必要だと思う」とも。

また、スポーツの世界では、近年月経の周期に合わせたトレーニング方法の研究も進んでいます。同じSpårvägen水泳クラブの所属選手でヨーロッパ選手権でもメダルを獲得しているミシェル・コールマンさんは、目下この新しいトレーニング方法に取り組んでおり、それは月経周期に合わせて、例えばある時期は筋肉トレーニングに集中し、ある時期は有酸素トレーニングにフォーカスするといったものだそう。

この分野はまだまだ未開拓で確かな結論のようなものがでるには時間がかかりそうだということですが、女性にとっては人生のうち長い時間を費やすことになる生理期間中のパフォーマンスの高め方に関してはもっともっと研究が進んでもいいと思います。それは一流スポーツ選手だけではなく、私たち普通の女性にとっても同じこと。研究がすすんでいなかったのは『存在しない女たち』問題の一環だったのでしょうか?

それにしても、この記事を読んでいたら以前読んで強烈な印象を持った一冊の本のことを思い出しました。昔の女性は月経の血をどうやって処理していたかとかが書かれていてとても興味深かった本。まだ読まれていない方は、手にとられてもおもしろいかも。

では、今日はこんなところでまた来週〜! これからそこら中に明け広げて今あたりがエライことになっているスーツケースの荷物の生理、違う、整理をします😊 Vi ses!

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